Chris | ナノ




「花子、あー、その、アレだ。」
「どうかしたんですか?」
「応援してくれて「あ!花子こんな所に居た!」

クリスさんが何か言おうとして、わたしがそれを聞こうとしていたら後ろから誰かに抱きつかれて、見てみればシェリーだった。クリスさんに軽くごめんなさいと言ってからシェリーの目線に合わせるように屈む。

「シェリー、どうしたの?」
「あのね、ジルが花子のこと呼んできてって!」
「あ、そうなんだ。すぐに行きますって伝えてくれる?」
「うん!」

トタトタと走り出す可愛らしい後ろ姿を見送って、振り返るとクリスさんがレオンさんに肩を叩かれていた。

「ごめんなさい…あの、クリスさん?」
「ん、いや大丈夫だ。」
「ジルさんが呼んでるので向こうに戻ります。あの、決勝頑張ってくださいね!応援してます!」
「ありがとう、努力してみる。」

クリスさん、ダディに勝てたらいいなぁなんて思いながらジルさんたちが待つベンチに戻る。

戻ってみればシェリーがレベッカとジルの間でクッキーを頬張っていた。可愛い!シェリーってば本当に可愛い!

「ジルさん。」
「花子、クッキー食べない?」
「いただきます!」

ジルさんのお手製クッキーをかじる。口の中に甘くてなんとも幸せな味が広がった。うん、幸せ味だこれは。

「おいしいです!」
「よかったわ、運動の後にはやっぱり甘いものよね。」
「美味しくてついつい食べ過ぎちゃいました…痩せなきゃ…!」

なんてレベッカが言う。充分細いと思うのだけれど、いったい何が気になるんだろうか。

「花子は何かダイエットとかしてる?」
「ううん、してない。」
「嘘でしょ!?あ、でも毎日あれだけ動けばそうなるのかな…」
「レベッカは痩せなくても大丈夫だよ。充分細いし、たぶんそれ以上体重落とすと体によくないと思う。」

ジルさんも頷く。それ以上痩せたらきっとレベッカは棒になってしまう。
説得するとレベッカはありがとう、と言った。どうやら思いとどまったみたい。

「でも体は鍛えたいからまたトレーニング付き合ってね、花子!」
「こちらこそよろしく!」

笑い合うとシェリーがわたしの服の袖をクイクイと引っ張る。どうやら決勝戦が始まるらしい。



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