「あ、あの、村の人たちは…」
村にウイルスが放たれなかったか、要するに無事だったかとずっと気になっていたんだろう。
花子の必死な思いがジョッシュにも伝わったのだろう、彼は優しい表情で彼女を安心させるような声でこう言った。
「みんな無事だ。」
途端に花子は安堵の溜め息をついた。よかったな、と肩に手を置くとこくこくと必死に首を縦に振っていた。銃を持たなくなると年相応で可愛らしい面が見える。
このまま素直で居てほしいとこの子の父親でもなんでもないのに思った。
「ジョッシュ、どうしたの?みんなトラックに乗り込んだわよ?」
「ああ、シェバ。」
俺たちが遅いことを心配したのか、ジョッシュと同じ隊に所属するシェバが来た。
「すみません、わたしがジョッシュさんとお話を…」
「あなた、もしかして、花子?」
「は、はい、そうです。」
花子が頷くとシェバは嬉しそうに近付いて行って握手を求める。花子が遠慮がちにその手をとった。
「アルファチームのシェバ・アローマよ。よろしくね。」
「は、はい、よろしくお願いします!ミス・アローマ。」
「シェバって呼んでちょうだい。」
「し、シェバさん。」
満足そうに頷いて、シェバは花子を連れて入り口へと歩いていく。
ジョッショが苦笑しながらその背中を追いかけたので、俺も歩調を速めた。