Chris | ナノ


研究所の中に潜入する。中は驚くほど静かで、先ほど村に入ったときのようだった。人が1人も居ない、かなり不自然な空間に俺たちは居た。

二手に分かれて潜入を開始する。無線を必ず開けておけと指示して、それぞれ別の部屋へと入っていった。

俺が入ったのは職員たちの働くオフィスだった。やはりそこにも人っ子一人居やしない。警戒しながら新型のウイルスに関する資料は無いかとデスクを漁る。

一番窓際のデスクから新型ウイルスに関する資料が出てきた。それに目を通してから資料ファイルに入れてしまう。

所長らしい男のデスクだけ鍵がかかっていて開かない。部屋を探してもそれらしき鍵はない。
ジルならこれぐらいの鍵はキーピック出来ただろう。俺も出来るようになったほうがいいのだろうか。だが俺は手先が不器用だ、くそっ。
そんなときに、花子からの無線が入った。

「こちらクリス。」
『花子です。小さな鍵を発見したのですが…』

こちらには合う鍵がありません、と花子は言った。

「俺の方に開かないデスクがある。持ってきてくれるか。」
『了解しました。』
「頼む。」

待つこと3分ほど、ドアが開く音がして、花子がこちらに駆けてきた。ただ、何故か銃を構えている。ふと花子の後ろに目を遣れば大量の研究所の職員らしき白衣を来た人々。どの人たちも生気を感じられない。まるでゾンビやマジニのようだ。

「花子、ドアを閉めてこちらへ走れ!」

彼女はドアをかなり強く閉めて、近くにあった戸棚でバリケードを築いて俺の方へ走ってくる。上出来だ。

「ご苦労!このデスクを調べててくれ。」
「はい!」

鍵は合っていたようだ。引き出しが開く音がした。
その間に俺は部屋の奥にある抜け道のような場所の扉を開けようと、ドアノブに手をかけた。しかし、鍵がかかっていて開かない。先ほどまで開いていたのに。最悪だ、となると、出口は職員たちがウヨウヨ居る入り口だけだ。
そこまで思考が至ったとき、ガシャンと戸棚が倒れる音がした。花子がそれに気付いて青ざめた。

「クリスさん!」
「いいか、落ち着いて狙いを定めろ。狙うのは頭部破壊か足下を狙って転倒させるのどちらかだ。あまり近寄るなよ。」

ざっと見ただけでは職員はだいたい10そこそこ。なんとかなる数ではある。



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