「あれか、研究所。」
「そのようですね。」
真っ白な壁に、かなり大きな建造物。
表向きは普通の生物の研究所。職員も様々な功績をあげていて、新型ウイルスの治療法などを見つけたりもしているようなところだ。
が、その実態は裏で、大量の兵器と成りうるウイルスをテロリストに売りつけたりとやりたい放題だ。
今回の任務は村長が言っていた、『こどもたちに投与することによって効力を発揮するウイルス』を回収することだ。
「クリスさん。」
「ん?」
「…ウイルスを投与された子は助からないんでしょうか。」
花子はかなり深刻そうな顔をしている。俺も頭の片隅で考えていたから、気持ちは分かる。どうにかしてこどもたちを助けられないかと。
レオンレポートによると、本来、こどもは従来のプラーガやウイルスに対する免疫がなく、投与されると命を落としてしまうそうだ。
しかし、今回は違う。こどもたちにだけ有効なウイルスだ。今は高熱にうなされているだけだが、ゆくゆくはもっと苦しむことになるだろう。それは出来ることなら阻止したい。
「なにか出来ることがあるかもしれん。だから今は進もう。」
「はい。」