Chris | ナノ



今回の任務の場所はヨーロッパの小さな農村だ。その村の近くに出来た研究所がバイオテロ組織と繋がっているらしく、村全体に新型ウイルスをバラまく計画を立てているらしい。
それを出来ることなら被害を最小限に留めて阻止して、新型ウイルスを回収してくることが任務だ。

プラーガの強化版が出回っているという噂もあるから注意しなくてはならない。

俺と花子は先に潜入して状況を連絡したり、ウィルスの居場所を突き止めたりすることが任務だ。

「花子、この村の地図は頭に入ってるか?」
「はい、だいたいは。」
「そうか…」

打ち合わせを終え、胸ポケットに常に入れているタバコをふかす。花子の視線に気が付いてしまった、と思った。

「悪い、すぐに消す。」
「いいえ、大丈夫ですよ。娯楽は必要だと思います。」
「すまん、喫煙者が多いからうっかり…花子はタバコは吸えるのか?」
「ま、まだ成人してません。」
「…失礼。東洋系は若く見えるからてっきり。」

レディに対してなんてことを言ってしまったんだろうか俺は。さっきからマナー知らずなことばかりしている。こんなことをしてしまうからモテないんだ。
そう言えばレオンにも鼻で笑われた。女運が悪いアイツに言われたくないが、それでも俺がモテないのは事実だ。

「クリスさん?」
「あ、ああ。すまん、ボーッとしていた。」

ああなんてことだ、自分より二回りぐらい年下の女の子に心配されるなんて。ついつい溜め息をついてしまう。

「なんだか、あれだな。」
「なんですか?」
「入隊して一ヶ月なのに俺は花子のことを知らないと思ってな。」
「あ…確かにそうですね。わたしもクリスさんのことをあまり知りません。」
「休憩時間だし、少し話すか。これから一緒に戦うんだしな。」

彼女は少し驚いていたが、そのあと嬉しそうに、そうですね、とはにかんだ。笑うとだいぶ幼い。

「じゃあ、改めて。クリス・レッドフィールド、35歳。家族は、両親はもう居ないが妹が一人居る。」
「花子・ギオネです、17歳です。家族は、父と母です。」
「17!?若いな…」

たしかに、言われてみればそんな感じだが…まさか17だなんて思わなかった。ラクーンシティに乗り込んだときのクレアより年下なのか。

「妹さんがいらっしゃるんですね。」
「ああ、クレアっていうんだ。ボランティア団体で活動をしてる。たまにこっちに来たりもするな。」
「兄弟って憧れます。一人っ子なので…」
「まあ、仲がいいか悪いかはあんまり分からんがな。滅多に会わないし。」

言いながらタバコを灰皿に押しつける。もう一本…いや、やめておこう。
禁煙した方がいいのではないかとクレアに言われたことがある。アイツなりに心配してくれているんだろうか。そう言えばラクーンシティに乗り込んだのも俺に連絡がつかなくなったからだったな。

「そんなものなんですか?」
「そんなものじゃないか?」

なるほど。そう言って花子はクスリと笑った。笑うのは珍しい。1ヶ月間一緒に過ごしてきたが滅多に笑わない。
と言うより花子が表情を崩すこと自体が珍しい。
花子はいつも何かを警戒しているような顔をしている。
笑えば可愛らしいのに残念だと思う。

「じゃあ、好きなことは?」
「そうですね…うーん、」

もっと早くにこういうのは済ませておくべきだと思った。思いのほか楽しいし、いい気分転換になる。タバコを吸わない休憩時間は初めてだった。




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