Alfred | ナノ




30分くらい歩いたかな、小さな頃よく来ていた公園がにたどり着いた。よい子は帰る時間の17時をすっかりと過ぎてしまったそこには、小さなこどもの姿は、むしろ人の姿は全くない。
誰かが忘れていったのだろうか、鈍い銀色のスコップが砂場に寂しく転がっていた。

小さい頃アルくんと一緒に来ていた頃からまったく変わっていない。錆び付いたブランコに広い砂場、色んな遊具。女の子たちと砂場でままごとをしてたらよく男の子たちに邪魔されたっけ。今ならあれぐらい日常にある可愛いらしい風景だと思えるけど小さい頃は怖くてたまらなかった覚えがある。

女の子は陰湿だとよく言われるけど、事実そうだと思う。わたしだってそういう一面が無いのかと問われれば絶対にノーとは言えないからなんとも偉そうなことは言えない。けれどわたしがなにより怖いのは男の子の陰湿さだ。
まるで女の子みたいに、ううん、女の子には及ばないかも知れないけどそれとほぼ同等のことを平気でしてくる。女の子同士ならなんとかなるかも知れないけど、思春期の男の子のほとんどは女の子の身長を頭一個分くらいは追い抜くし、力だってそれなりに着いている。女の子は到底その力に及ばないのだ。これほど怖いことはない。

中学のとき、放課後の教室で大勢の男の子に囲まれたことがあるけどあれは本気で死を覚悟した。浴びせられる罵りの言葉や相手を辱める言葉。力が抜けて何も出来なくなって、へたり込んだら軽く蹴られた。エスカレートする前に心配した友達が気づいてくれたからよかったけど。あのときの教室から見えた夕焼けをわたしは今でも覚えている。

今日の夕焼けはそれにそっくりだ。

「花子!」

は、は、と荒い息を吐きながらこちらに駆け寄ってくるアルくんの姿を見たら、なんだか涙が出た。

今、同世代の男の子が怖くて仕方ないのも、もっと大人になったら笑えるのかな。まだまだそれは遠そうだ。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -