Alfred | ナノ


「アーサーお兄さん?」
「うん、なんとなく覚えてるかな。彼はまた最近この近所に越してきてね、それで今遊びに来てくれてたのさ。」
「あの、アルくん、母さんが晩ご飯一緒にどうって。」

そう言うとアルくんは嬉しそうにぜひ行きたい、と言ってくれた。でも、アルくん、アーサーさんらしき毛布お化けはどうするの?そんなことを思っているとがちゃりと部屋のドアが開く音がして、母さんが入って来た。
母さんはアルくんを見ると嬉しそうに笑って、わたしを押しのけて話し始める。母さんのイケメン好きはたまになんだか呆れてしまう。父さんに言いつけてやるんだから。

「こんばんは、アルくん。」
「こんばんは。晩ご飯、ご馳走になってもいいんですか?」
「ええ、もちろんよ。…あら?そちらの方は?」

部屋を覗き込んだ母さんが毛布お化けさん(仮)を見つけたようだ。アルくんは苦笑しながらこう答える。

「ああ、アーサー・カークランドです。」
「まあ!アーサーくん!?」
「その声は…」

花子のお母さん!?と毛布お化けさん、もといアーサーさんが毛布から出てくる。急に男の人に名前を呼ばれて、飛び出してきて、わたしはパニック寸前だ。うわあ眉毛!眉毛!

「アーサー出ちゃ駄目だって言ったろ!」
「いって!やめろアル!相変わらず美人ですね、ママさん。」
「あらやだ照れるわ!アーサーくんたら!」

そのあと母さんはわたしの方をぐるりと向く。こわい!

「ごめんね、花子の男嫌いの所為で…」
「う、うるさいよ!」
「だって本当のことでしょう?まったく…」
「母さんに迷惑かけてないじゃん!」

思いの外声が大きくて、キツイ言い方になってしまって、母さんは少しびっくりしていた。アルくんもアーサーさんも目をぱちくりさせている。ああ、やっちゃった。恥ずかしいのと悔しいのと色んな感情がごちゃ混ぜになって、なんだか目の辺りが熱い。

「ご、ごめんなさ…」

泣いた顔を誰にも見られたくなくてわたしはカーディガン一枚を羽織って家の外へと飛び出した。
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