※少し捏造有り




私、ただ今絶賛アタック中です!

私の名前は名前、賢くてプリティーな魔導士の女の子。恋しくて堪らないあの人の目に留まる為にも、今日もこのマグノシュタット学院で毎日魔法のお勉強をしているの!あ、アタックは攻撃は攻撃でも恋の攻撃だからね!えへへ!アタックしてないよねとか都合の悪い事は聞こえない聞こえない。



「はぁ………ティトスくん……」



ため息を一つ吐いて彼の名前を呼ぶ。そう、私の憧れて止まない最愛の人の名前はティトスくん。このマグノシュタット学院でも飛び抜けて魔力(マゴイ)もコドルも高い首席な上に美少年。そんな彼が人気で無いはずが無い。私がいるコドル四の教室の同年代の女の子達は大抵誰かがティトスくんの話をしてるくらい。

はあ〜ぁ、何処かでティトスくんとバッタリ素敵な出逢いが出来たらいいのに。私がそこまで考えた所で、余計な声が私の耳に強引に入ってきた。今いいとこだったのに誰?シメてやる…。



「おい名前、何ぶつぶつ独り言言ってるんだ?」

「もー!スフィントスうるさいなぁ!折角私のイメトレがいいとこだったのに!」

「はぁ?途中賢くてプリティーとか聞こえたけどお前賢くもプリティーでもねぇじゃん!」

「…よしスフィントス、表に出ろ」

「望むところだ…お前を返り討ちにしてやるよ!」

「ほほう…?治癒魔法ぐらいしか私を上回る物がないクセに!」



コドル四の教室内では私を支持する方が圧倒的に多い。ざまあみろ…!自分が言った事を心の底から後悔させてやる…、と私はこの時きっと怒りのオーラを全身から放っていただろう。それから私とスフィントス、それからクラスメイトで一旦外に出て、二人で向かい合って距離を取り睨み合う。勿論杖は装備済みだ。



「スフィントス…後悔させてあげる…」

「お前の方がな…」



二人で暫しお互いを睨み合った後、風が吹いたのを合図に私は杖を構えた。フッフッフッ…得意の光魔法の威力、思い知るがいい!空気中の太陽光を一つに集中させ、スフィントスに向けれればあら不思議、防壁魔法(ボルグ)では遮れない光線の完成だ。
なぜ遮れないのかというと、あくまでこれは攻撃用じゃないから。暫く目をチカチカさせて、視界を遮るのが目的の光魔法。案の定、スフィントスは眩しい!目が!とか叫びながら転がってるし、私の勝ちだな。


「残念だったな…また挑むんだな」

「チクショーーー!」


私は勝利の優越感に酔いながら颯爽とその場を後にした。ああ気分が良い!私をプリティーじゃないとか言うからヤツは負けたのだ。学院の渡り廊下を鼻歌を歌いながら歩いてると、どん、と誰かにぶつかる感覚。


「あ、すいません」

「いやボクもよそ見をしていたからな、では」


ぶつかってしまった相手に対して軽く謝って、その顔を見てみる。ん?もしやまさか待ってこの顔はまさか……!感動と失礼過ぎる自分の態度を胃を握られる思いで心中で謝罪しながら、震える声でその名を呼ぶ。



「ティトス…くん…?!」

「ん?何だ、ボクを知っているのか?」

「えっ!?!いや、それはティトスくん賢いし人気だし…」

「へぇ、そうなのか。それでキミは一体?」

「あ、え、名前!です!!」



あああああ今緊張で声が裏返った。私なんでもっとおしゃれしてこなかったんだろう、馬鹿!過去の自分を殴ってやりたい。まさかティトスくんとぶつかる上に名前まで聞かれるとは思ってなかったから私の準備は不十分にも程がある。あ、汗とかかいてないかな、臭くないよね?必死でスフィントスに馬鹿にされた頭をフル回転させながら言葉を探す。

ここで何か繋がりを作れるなら作っておきたい。あわよくば恋人に…!彷徨うように手を動かして服の中のポケットを探ると、この前買ったお菓子が出てきた。なんでよりにもよっていつも食べてる安いお菓子なんだ…。もう仕方がないと鷹を括り、その美しく秀麗なお顔を可愛くこちらに不思議そうに向けるティトスくんに、もうどうにでもなれ!と突き出して半ば叫ぶ様に喉の奥から言葉を振り絞った。



「ティトスくん、………良かったら、お友達にしてください!!」

「………いいだろう」



え?今何て?本当にティトスくんが今いいよって言ったの?その麗しい口元を微笑ませながら綺麗な瞳でこちらを見る彼は本当に言ってくれたようだ。や……やったあああ!!見たかクラスのライバル達よ、私はティトスくんとお友達になったぞ!


「ここここれからよろしく!ティトスくん!」



多分その時の私は、この世で一番幸せな顔をしていただろう。廊下でぶつかるきっかけになったとも言えるスフィントスにも感謝してやろう、豆粒位。


喜びに飛び跳ねる私を余所に、私の周りのルフたちが桃色に羽ばたいているのが見えた。









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