食事をとる大広間にある窓の外で鳥がピチチ、と鳴いている気持ちの良い朝。だが、いつもスリザリンの談話室は地下にあるため、寝起きは決して清々しいとは言えないのが本当だ。

まあ慣れればどうって事はない。そんな事を考えながら、目の前にあったミモザサラダとベーコンエッグを適当に皿に盛り付け、黙々と食べ進めた。


少し早めに起きてきたため、食べ始めは人がちらほら居るだけだったが、時間が経つと増えてきた。あまり騒がしいのは好きではないので、クィディッチの練習まで保つように食事を食べ終える。



「ナマエ!ちょっと見て見て!今日はフレンチトーストがあるわよ!」

「本当ね!素敵な朝食だわ」




大広間を出る際に、レイブンクローのテーブルの方から昨日の女生徒の声が聞こえたが、僕はそのまま緩慢な動作でスリザリン寮の方向へと向かった。いくら助けられたからといって、純潔か純潔でないか分からない家の者とはむやみに話さない方がいい。

そして僕は地下への階段へ足を掛け、靴をコツ、コツ、と鳴らしながら談話室へと降りた。



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1限目、つまりは朝の最初は空きコマなので、僕は図書室の方へ足を向け廊下を歩く。ちょうどこれから呪文学でもあるのだろうレイブンクロー生達と、その他のハッフルパフなどの生徒が何やら呪文の事を話しながらこの4階を横切っていた。朝からよくレイブンクロー生に関係がある日だ、前に掛かってきた髪の毛を首を振る事で退ける。


その時、またあのミヨウジ…といっただろうか、あのレイブンクロー生を見掛けた。彼女が同じ寮生の少し…いや、かなりふくよかな友人と楽しそうに会話しながら前を歩いていると、どこからかヒソヒソと彼女達に向けた様に話し声が聞こえた。



「ミヨウジさんの隣にいる子さ、可愛くないよな」

「ああ、美人なのにあんな子隣に並べるなんて、友達選んだほうがいいよな…」



…はあ、これだから頭が弱いやつは好きじゃないんだ。別にミヨウジにもあのレイブンクロー生にも同情心は少しも湧かないが、クスクスと人を小馬鹿にする様に廊下を歩く男子生徒には胸糞悪くなった。さて、あのレイブンクロー生はどうやって対処するのだろうか。少し歩行速度を緩め、話に耳を傾けた。




「おはよう」

「…!お、おはようミヨウジさん」

「ミヨウジ、さん、おはよう!」



ちょうど男子生徒の横を通り過ぎるだろうという時、ミヨウジがスッとそちらを振り向き、微笑みながら挨拶をした。無論その挨拶された二人はたじろぎ、そそくさと教室の方へ去って行った。成る程、そうしたか。そして彼女は俯く友人の方へと向き、優しい声色で声を掛ける。彼女の金糸がふわりと揺れた。



「クレア」

「ナマエ…私、私…」

「泣かないで…。私はね、貴女を素敵で大切な友達だと思ってるわ」

「でも、私なんかと一緒に居たらナマエまで何か言われちゃうじゃない!私をそこまで買い被らないで…」

「いいえ、貴女はとってもチャーミングよ。彼らは貴女の魅力を知るチャンスが無かっただけ。ほら、私は貴女を素敵な一面を沢山知ってるわ」

「…!…っ…ぅっ…ありが…とう…」



彼女は見事に泣いているクレアという友人を励まし、そのまま「ほら、行きましょう。今から楽しい呪文学よ?遅れちゃうわ」と、笑顔で授業に向って言った。彼女は人当たりが良いらしい、僕はそれだけをふと思った後、始業の鐘を聞きながらまた図書室を目指した。

廊下にある肖像画の人物達が、優しい目をしながら呪文学の教室の方向を眺めていた。







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