依頼もなく他の仕事もない緩やかな午後のひととき。
ここ暫く忙しくてこうしてゆっくりするのは久方ぶりだった、のだが。
「やぁ諸君!元気かね?」
派手に扉を開け、馬鹿みたいに陽気な台詞を放った男によってあっさりと終わりを告げた。
空気の読めない来客を赤月は机に頬杖をついたまま眺め、椎葉は読んでた雑誌から顔を上げ心底めんどくさそうな表情を作った。
「…なんの用だ山城」
「あれ、お得意様に冷たくないかね?」
「お前絶対依頼に来たんじゃないだろ」
「ちぇーバレてたかー」
そう言いながらどかりとソファに座ると、いつの間にやら椎葉が用意した茶を啜る。
「んで、なにしに来たんだお前」
「んー?赤月の顔見に…かな♪」
「椎葉、その気色悪い男をつまみ出せ」
「急に来たのにつまみまで出してくれるのか?」
「そっちじゃねぇ!!」
息切れを起こし始めた赤月は目の前にそっと置かれた茶を一息に飲み干した。
「というかさ、こんな時間に椎葉ちゃんもいるってことは今日は暇なんだね此処」
「此処に来てる山城さんも相当暇なんですね」
「くふっ、椎葉ちゃんそれは言わない約束だよ」
「そんな約束した覚えないです」
「厳しいなぁもう。…あ、やっばい戻らないといけねーや」
山城はいそいそと立ち上がり、じゃあまたな!と無駄に爽やかな笑顔で出ていった。
「…あいつまじで何しに来たんだ?」
「さぁね…冷やかしだね完全に」


山城が暫く出入り禁止になったのはまた別の話であった。
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