捧げ物 聖藍さま | ナノ




「…ん……」
冷たい空気を頬に感じて目を覚ました。
むくりと上半身を起こし、そのままぼんやりとする。
だんだん意識がはっきりしてきたところで、違和感を感じた。
「あれ〜…?神優〜…?」
神優の姿が寝室にない。
窓の外はまだ薄暗く、起きるには早すぎる時間だというのに。
ベッドから降りて家中を彼女の名を呼びながら探し回る。
けれど、神優の姿はどこにもなかった。
「どこ行っちゃったんだ…」
彼女から子供を身籠っている事を告げられた日、今みたいに家からいなくなったという事があった。
あの日は書き置きを残していったけど、今日はそれがない。
「本気の家出っ!?」
それとも誰かに誘拐されたのか!?
いてもたっても居られなくなって玄関を飛び出す
すると以外にもあっさり彼女は見付かった。

「神優…!」
彼女は家から数歩離れた所に佇んでいた。
ゆっくり振り返ると神優はあぁ、起きたかと静かに言った。
「こんな寒いのになにしてるんだよ!
ほら、こんなに冷たくなって…」
神孔は、早く家に入ろうと言って神優の腕を掴むが彼女は動かない。
「ねぇ神優…」
「…夢を見たんだ」
ぽつり、と神優が話し出す。
「とても恐ろしい夢だった。
目が覚めた瞬間に夢で良かったと安心した。」
すっかり大きくなったお腹をゆるりと撫でる。
「不安なんだ。もし現実になってしまったらと思うと…。子を守らないといけないのに…」
神優はそう言うと視線を地に落とした。
「言ったよね?
俺が神優も子供も守るって」
ぎゅっと神優の手を握る。
「だから、神優は安心してね?」
小さく頷く。
「ほら、まだ早いしもう少し寝ようか」
「あぁ…」
そのまま手を引いて家の中に戻っていった。
遠くの空はうっすらと明るんでいる。
幾度目かの朝は近い。





Vi proteggiamo






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