いつまでたっても気づいてくれない彼にわたしはある作戦を強行することに決めた。 きっとこれならどんな男の人でもロマンにかられるに違いないのだ! 純情スカートなんてそんなものは甘ったるい。わたしは"欲情"スカートでいこう! 白いワンピースはひらりと翻り、ギリギリの所でもとに戻る。 海風は思った以上に吹くものだったが逆に今日だけは好都合だった。先ほどから痛いほど太もも辺りに視線を感じられる。 でも肝心な人はというとお頭の隣でタバコをふかしている。 こっちを見てよと思って視線を送ればなぜか隣のお頭が手招きをしている。 あなたじゃないですと思いながらもお頭のところへ行くとお頭はにやーっと笑った。 何だろうと思ったそのときだった。 バサッ! お頭の腕が上がったと思うと、スカートが下から上へと大きく舞った。 うひゃあ!なんてらしくもない声を上げてへたりと床にしゃがみこんだ。 「お頭!!!!」 「いやあ、スカートはめくるもんだろ?」 「馬鹿か!!!!」 お頭はまるで子供みたいに喜んで笑っている。こんな人が本当に四皇なのか。くそう世の中はどうなってんだ。 ちらりと副船長に目をやればあきれた顔でこちらを見ていた。 その視線と目が合うと、心臓がぎゅっと握りしめられたように痛くなって苦しくなった。 何が"欲情"スカートだ。本当は恥ずかしかったし、欲情してるのは他の船員とお頭ばっかりで仕掛けようとしてた人には呆れられちゃって。まるでいいことなんかなかった。くそう。くそう。 「お頭」 自己嫌悪の中、不意に上から降ってくる声。 その声が副船長のものだとすぐにわかって見上げようとすると頭を押さえられてそれを拒まれた。 「ちょっ、副船長!」 「敵襲の時、こんな服じゃ困る」 「離してっ」 「こいつを部屋まで連れて着替えさせてくる」 私の頭を押さえていた手が離れたと思えば、その手で腕を掴まれ、ずんずんと引っ張られて船室へと向かう。 もうどうにでもなれと思いながらもその掴まれた腕から伝わる熱で少しだけ嬉しいなんてわたしはなんてめでたい頭をもってるんだろうなんて思った。 急に前を歩いていた足が止まる。 わたしは副船長の背中にぶつかって止まる。 「どーせ、お前のことだ」 「え?」 「俺の気でも引きたかったんだろう?」 なんで知ってるんだと驚きと恥ずかしさが一緒にやってきた。どんどん顔に熱が集まってきて耳なんか熱くてたまらなかった。 そんなわたしに副船長をみれるような度胸は無くて、もう押さえられてないのに顔をあげることができずにいると、頭の上からリップ音がした。 「ふぇ?!」 「心配しなくても、お前は俺の気を引けてる」 え、それってそういうことだよね。自惚れていいのかな。副船長がわたしのこと好きってことでいいのかな。ちょっと待って待って展開が速くてわたしの心がついていけてないんだけど。 わたしが顔を上げて降ってきたのは首へのキスだった。 「意味はわかるか、なまえ」 チラリズムと欲情 (作戦は成功したようですか?) 「にしても、派手なパンツだったな」 「それは、だって」 「どうなるかわかってるか?」 |