呆然と親父を大きな瞳で見つめる赤い髪の豆ダヌキ。
「白ヒゲ海賊団…?」
そうつぶやくと、コテンと床に頭をつけた。
泣いたのかと思い、ため息をつくと豆ダヌキは思いもよらない言葉を放った。
「…わ、わたしも家族になれますか…?」
小さく震える豆ダヌキ。
その姿はさらに、弱々しく見えた。
「グララララ…顔あげろォ。」
そう言われると、バッと笑う親父の顔をブレもなく見上げる視線。
「…お前みてぇなチビに…何ができるんだァ…?」
そう尋ねる親父の声は楽しんでいるように思えた。
「…剣なら。」
豆ダヌキをじっと覗き込んだと思うと、ちょうど食事を終えてでてきた剣士三人に親父は視線を移した。
「おい、お前ら…ちょっとこいつにソレ貸してみろ。」
いきなりのオヤジの呼びかけに驚いた顔をしたが、慌てて一人が刀を差し出した。
それを豆ダヌキに投げると、刀を持つ二人のうち一人と一戦交えろと笑みを浮かべた。そして、どっちでもいいから相手してやれ、と少し離れた場所にいる二人に声をかけた。
「一人でいいんですか?」
そういいながら刀を抜く豆ダヌキ。
そうしている間に、一人が近づいてきて戦闘体制を取った。
「手を抜くなよ、グララララ…」
オヤジがそう言って、剣士が一歩踏み出したその時だった。
キィィインっという金属音が耳に響いた。
その瞬間、一本の刀が宙を舞って、船の床に突き刺さった。
思わず息を飲んだ。
「…すいません、大丈夫ですか?」
刀をしまったのは豆ダヌキのほうだった。
剣士は何があったのかわからない顔をして立ち尽くしてしまった。
「グララララ!!!!」
親父の笑い声が船に響き渡る。
ニッと豆ダヌキを見ると、
「娘ェ…おめぇやるじゃねーか。」
「…む、むすめ」
そう、口にすると
豆ダヌキは嬉しそうに笑顔を浮かべた。
「マルコ、しばらくこいつの面倒みてやれ。」
「………俺かよい。」
豆ダヌキを拾いました。
(なんで、俺が世話をするんだよい)
「お前が見つけた女だろ、グララララ!」