規則的な息遣い。
時折聞こえる吐息混じりの短い声。
感じるのは、汗ばんだ柔らかい肌
ゆっくり、眼を開けば
赤色の頭が自分の腕に乗って抱きしめられていた。
タヌキかよい……。
もう一度目を閉じる。
…………いや、タヌキは抱きしめねぇよい………ガキ?
俺は慌てて起き上がった。
ちびっこいのは、身体にしがみついたままだった。
昨日、俺は何したんだ。
いくら溜まってたとはいえ、こんなガキを抱こうなんて考えないし、なにより俺も、ちっこいのもちゃんと服を着ている。
それに、後からこいつが入って来たら気付くはずだ。
「マルコさーん、飯だって」
バンバンと叩かれるドア。
すうすうと呼吸するガキ。
「あぁ、今行くよい!」
絶対開けるなよい!っと叫ぶ。
これがサッチとかエースに見られたら俺はいろいろと大変な事になる。
「お、おいお前も起きろい」
ぐらぐらと揺らして、起きるように促す。
「…すーー」
……お、起きねえ!
とにかく食堂に行く前に、こいつをオヤジ所へ連れていこう。
俺はそいつを毛布で手早く包み込み、オヤジの元へ走った。
ドアの前にいた隊員を吹っ飛ばし、部屋から出てきたばかりのエースを蹴り飛ばした。
−−−−−エースには絶対見られたくないんだよい!
船室から抜けて、朝から酒を飲むオヤジの前に出て、勢いよく俺はこういった。
「豆ダヌキが紛れ混んでいたよい!」
豆ダヌキ見つけました。
(子供に手を出すほど飢えてねえよい!)