2.乱れた吐息
(急がずにはいられなくて)
私、告白もしてないのにフラれたね。
「ごめん、応援してくれたのに」
「ううん!いいのよアンタは頑張ったんだし…」
友人は泣いてた。
嬉しかった。いつも意見を言ったり出来なかった私を励ましてくれた。
「…っ、ありがとう…!」
****
「あれ?誰だろ?」
机に昨日無くした消しゴムが。
「誰か知らない?」
「あ、俺教室に誰か入るの見たぜ?」
「誰かわかる?」
「うーん、誰だっけ?」
私のお気に入りの消しゴムで諦めてたものが帰ってきた。
これはプレゼントだね。
「思い出した!佐伯だ!」
トクン…。
私の胸が弾んだ。
彼が…届けてくれた?
信じられない出来事だった。
****
放課後、お礼を言いたいのに勇気が出なかった。
チラリと廊下を見ると、丁度佐伯君は帰る様子だった。
でも私には追いかける勇気がない。
「帰るよーっ…ってどうしたの?」
「え?ううん!なんでもないよ」
「なら良かった。カラオケ行こう!」
どうしても離れない彼の行動。だってなんで私のってわかったのかな。
名前なんて書いてないし…
悶々としたら声を掛けられた。
「…気になるなら行きなよ。お礼どうせ言ってないんでしょ」
「…!」
「アンタ、自分に自信持ちなよ?」
気付いたら走っていた。
もう何十分経ったかわからないけど私は走った。
暫くすると彼を見つけることが出来た。
「…っ佐伯君!!」
「ん?…君は…」
「はぁ、はぁ…!いきなりごめんなさい!あ、の…」
「落ち着いて、俺は逃げないから」
「私、ワタシ…!消しゴム、ありがと!!!…それだけだから!」
「え??あっ君!」
目的を達成して勢いよく去って行った私。
やり遂げた!やりました!
嬉しさのあまり、彼が何かを言ってるのに気付かなかった。
「…忙しい子、だな」
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