4.ゼロの数






「これ懐かしいよね」
「あぁ、ガキん時に食べたなぁ」
「…?おい、副に宍戸。何をしてやがる?」



私と宍戸君は一年で同じクラスだったし、庶民同士で気が合う。
そして今日は駄菓子の話をしていた。

そこに我等が会長が現れた。



「駄菓子ですよ。会長も食べますか?」
「そうだな…ここは味わってやろうじゃねーの。なんだこれは」
「跡部知らねぇのかよ。これはうまい棒だ」
「うまい…棒?」
「名前の通りだぜ。定番のコンポタ食べるか?」



宍戸君の差し出したうまい棒を手に取り、一口。



「…うまい!なんて安直だがシンプルな惹かれる………すげぇ」
「ちなみに味はたくさんあるんで探してみるのも楽しいですよ。…会長?」
「それを買い占める。いくらだ」
「え!?一本辺りが20…円くらいだったかな」
「20…!?」



どうやら聞きなれない単位だったみたいで硬直していた。



「俺様は…10000より下をみたことがない!!庶民とは凄い、未知の世界だったんだな!」



私達にとってはそちらが未知の世界です。



「…副の持ってるのはなんだ?」
「カップ麺に似たものですよ。一口食べますか?はい、あーん」
「あ、アーン?」




口癖みたいになった。
無意識になんてことしてるんだ私。


しかし、何も迷いもせず、食べると何かに満足したような笑みを浮かべた。


「美味しかったですか?」
「あぁ。…お前、よくあんなこと出来たな」
「…っ!無意識にやっちゃったんです!」
「おい跡部、茶化すなよな。困ってるだろ」
「フッ。まぁ覚えておけ」
「「は?」」
「俺様は桁の違う男ってことだ」



相変わらずわけがわからんこの男。

ブルジョアかよ…
別に金持ちが羨ましいわけじゃないもん!




後日、またしてもやらかしたらしく、ニュースにて『うまい棒消える』事件が取り上げられたとか。






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