猫追い物語
アレから一年。
私と光は二年、兄貴達は三年になった。
兄貴は朝練があるため、私は遅れ…いや遅刻しそうです。
「なんでやー!先輩になったのに情けないわー!」
相変わらず遅刻しそうになって全速力で走っていた。
あれ?何これ。前にもあった気がするんやけど―――…
キキィ―――!
「にゃ!」
「…ぶっ!!」
車に轢かれそうになった猫が勢いよく私の顔面に直撃した。
「もー…なんなんや…って、何この子!むっちゃ可愛え!!!」
「にゃ?」
そうなんです。私、猫が大好きなんや…
「に゛ゃ!!!」
「あ、ちょ…待ちや!」
慌てて抵抗して身をよじり、私の手を離れる。これを逃したくない私は猫を追いかけて。
****
「あーいいブラリ日和ばい」
春のいい陽気に、ふらりと町を堪能していた。
ホントは学校に行かなきゃいけない。
でも春の陽気が俺に言うんたい。
「散歩しなきゃ損々♪」
「な、あの人カッコ良くない!?」
「背もめっちゃ高いわ!声掛けようやー」
「あのぅ、すみませ〜ん!」
「ん?俺のこと?」
ただ町を歩いてただけなのに、なんか女の子達に声を掛けられた。
「今暇なんですかー?お兄さんカッコイイですねぇ♪」
「(あ〜そういう類い、みたいなんね。)まぁ暇というか、暇じゃないというか…」
「え〜こんな時間に歩いてたら暇なんやろ?遊びましょ!」
うーん、困ったばい。
こういう時はどげんしたか…
「待ちやぁぁぁぁぁぁ!!!」
「「「!!?」」」
茂みから猫を追いかける女の子が現れた。
そう、これが俺と彼女の出逢い。
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