笑顔の意味





side光





『幼馴染みってだけでズルい』



…そうなんかなぁ。


「先輩等、幼馴染みってズルいんやろか?」



…一時の沈黙。それを破ったのは千歳先輩やった。



「なんねいきなり。そりゃぁ俺から見たら財前はズルいばい」
「なんで?」
「俺の知らない莉子ちゃんを知ってるからたい。俺は知らんわけやし」
「…そういうもんすか?それが恋愛に発展するなんて物語だけの話やろ」
「その“物語”が今、光の周りで起こっとるとしたらオモロイわね」
「俺の中では小春との物語が始まっとるで〜vV」


はいはい、と一氏先輩をあしらう金色先輩。


俺の周りで、ねぇ。
俺から言わせればリコの周りで起こってることがオモロイから傍観しとるつもりなんやけど。


アイツはただの幼馴染み。それだけやのに周りは変な目でみよる。




「俺やって財前が妹と長い付き合いなんて知らんかったわ。偶然なんか?」
「…偶然なんすかね」
「光?それは必然とも言う。全ては運命なんやから。やろ?」



必然…?アイツとの出会いは運命付けられていたって?アホらしい。

まぁ、アイツがいて退屈はしないし………


俺はアイツが喜ぶならなんでもしたいなんて思ってたりしている。
だから謙也さんとのことを応援しているわけだ。



ふと、リコの笑う顔が浮かんだ。



「…?ちょっ…!ユウ君!」
「わ…!財前が…」
「「「「微笑んどる!!」」」」
「な…っ!ちゃいます!!」
「光可愛え♪」
「浮気か!死なすど!」
「…なぁ、なんで謙也苛ついとるん?」
「……なんか今更ながら財前に嫉妬しとるんや」
「謙也もついに落ちたんや!凄いわ〜リコちゃん!」
「うっさい!てなわけで財前殴らせろ!」
「は!?意味わからん!」
「謙也俺も混ぜんね!」
「お前も殺るわ!」
「お前等うるさいわ。無駄な時間はアカンなぁ。リコ呼ぶで?」
「「むしろ呼べ!」」
「…はぁ。」



流れが変わって良かったわ。
まさか言えるわけないやん。

“あの笑顔を渡したくない”と思う自分がいるなんて。




これは恋なんやろか?






- 22 -


[*前] | [次#]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -