兄の想い、妹知らず





「部長!リコが倒れたって…」
「静かにしや。こここは保健室、俺のテリトリーや」
「すんません…どないしたんすか?」
「女に叩かれた、それだけや」
「…なんやいつもの部長やないみたいやわ」



そう、いつもなら聖書、テニス部部長の威厳ある雰囲気があるのに、優しい顔をしていた。



「で、リコはどうなんすか?」
「…大丈夫や。気ぃ失っただけ。…なぁ財前」
「なんすか?」
「俺等の側に居ちゃいけないなんてこと、コイツには関係ないよな」
「当たり前やないですか、どないした…」
「リコ、すまんな」



部長は普段見せない、悲しい顔をしてリコの額を撫でた。

そうか、この人は…

ホンマは妹想いなんやな。



「俺、いつもお前に何かしてやれなくて…悪かった。嫌な兄貴やなぁ」
「部長…」
「財前、コイツと仲良うしたってや」
「もちろん」



****



その頃、謙也は。



「ちょっ…千歳!邪魔やどけ!」
「断るばい。謙也より早く莉子ちゃんの所に行くためには邪魔せんと」
「俺の前をディフェンスしたって一歩の差やっちゅーねん!」




千歳にディフェンスされていた。




****



「あの王子様は何をしてるんや…」
「しょうもない王子様っすわ」







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