天使、世界が変わる




「なんで…側にいてくれなかったの?」
「ゴメンって!俺だって早く行きたかったけど、用事が長引いて…」
「それでも来てくれなきゃ…私は…怖かったんだよ?」
「…沙耶、お前の愛情、いや依存は重いと思うよ」
「…え?」
「いつだって俺が近くにいると思ったら大間違いだ!」







****

「……ここ、は?」

天を仰げば、白い。
微かに匂う薬品の匂い。また来ちゃったんだ。

「沙耶さんっ」
「あれ…?赤也……どうしたの?」
「どうしたもないっすよ!心配したんすから…!」
「赤也…そんな泣きそうな顔しないで」

いつも私に優しく接してくれる彼が、私の心配をしてくれていた。
泣きそうな彼を優しく撫でると、笑ってくれたから私も笑い返した。

「よかった……!笑ってくれたし…俺の名前呼んでくれるし!」
「何度でも呼んであげるよ?赤也」

赤也、赤也…彼は本当に私を思ってくれるんだ。
私は、彼に愛されているんだ。



私は?私はそれに何を返してあげられるの?




「沙耶さん、悪いと思ったんすけど…幸村部長に聞きました。前にあったこと」
「…そう。幸村君たらお喋りだね…」
「でも、俺はどんな沙耶さんでも好きッス!」
「ダメだよ、私が…また我が侭言って…困らせちゃうから」
「好きッス」
「だから…ダメなの」
「なんで俺が困ると思うんすか」
「だって…困らせたくないから」
「そこでなんで俺の意思が出てくるんすか?」
「…なんでかな」
「目を逸らしてるだけじゃないっすか?アンタは…俺のこと…」
「言わないでっ!」
「沙耶さん…」

気付きたくないのに…言わないで。

依存してしまう。


「愛してます」








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