天使、眠る




なんでこうなってしまった?

今、目の前には愛しい人が…倒れていた。
「―……沙耶さ、ん」

動かない。なんで?事故。よくある事故だ。



****

「今日は試合するから」

幸村部長の一言にワクワクした。だって俺の目標は三強を倒すこと。これはチャンスなんだ。

「柳先輩!やりましょ!」
「あぁ」





「あ――なんでだよぉ」
「お前が俺に勝つにはまだ力不足のようだったな」
「…余裕すぎてムカつくー!」
「あまり周りに当たり散らすなよ、赤也」
「へーへー」
「あーもう!最悪だよね」
「早く終わらせて新作欲しいのに」

俺が目に止まったのはケバい女達。
多分、何かをやらかして罰で片付けをやらされてるんだな。

「…!おい、余所見するな、赤也!!」
「…へ」

柳先輩が打ったボールが目前まで来ていた事に気付かなかったから、俺は咄嗟に打ち返したら…
向かう先はケバい女達の方だった。

「げ!?」
「きゃぁぁぁぁぁ!!?」
「あ、すみませ…」

あの女供に当たりそうになったボールが、反射神経がよかった奴等らしく跳ね返し……

たまたま居合わせた沙耶さんに直撃した。
その光景に全身の血の気が引いていくのがわかる。

「……は」

バタン!

「え、ちょ?城山!?」
「だ、大丈夫かよ!?やばっ!」
「…っ!!どけ!」
「痛!なんなのアンタ!」
「沙耶さん…?」

名前を呼ぶが反応がない。
ピクリとも動かない彼女に俺はただ、見つめることしか出来なかった。

「…沙耶さん、沙耶さんっ!!」
「赤也、落ち着け。無理に動かすのは良くないぞ」
「柳先輩…俺の、俺のせいッス!余所見なんかしたから…」
「今は安静にさせることが大事だ。脳震盪を起こしているかもしれん」
「何事か…城山!?」
「弦一郎、すまないが運んでやってくれ」

俺は動けなかった。なんで冷静になって「俺がやる」と言えなかったんだ?


沙耶さん…!!!





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