天使、疑問
貴方はなんで私を好いてくれるの?
あの出逢いは奇跡でもなんでもない、人が行き交うのと同じだと思っていた。
だから私は、他の人と同じ接し方をしたのに。
貴方は運命を感じていた。
こんなに、話すなんて。
顔を思い浮かべてしまいなんて。
存在が私の心を乱す。
教室にやってきては
「探しました」「会いたかった」
なんでそんな言葉を私は喜んでしまうの?
単純な私の心。
「なんで、なのかな」
ふと、窓を見て彼を探す。
いつも目標に向かう、頑張り屋な所が好き。
この好きは恋愛感情じゃないよ。
輝いている貴方は素敵。
「今日も、会いに来るのかな」
期待する自分がいた。
前と変わらないのね、私。
「…」
「沙耶さん?」
「…!」
どのくらい時間は経ったのか、寝ていたみたい。
探していた貴方がいた。
「「見つけた」」
ハモる。
「珍しい…そんなこと言うなんて!」
「あ、うん…なんでかな」
「きっと沙耶さん、俺を好きになったんすよ♪」
「違うかなー」
落ち込む赤也を見て、なんだか反応が可愛くて、楽しくて。
私、堕ちたんじゃないかなって思った。
依存し始めてるのかもって、今はまだ言わないよ?
「帰りましょうよ!」
「うん、いいよ。ほら」
「…え?」
「何してんの?手だよ、手」
私が大胆に手を繋ぐと、疑問符が浮かんでるのがわかる。
これは天使の気まぐれ…とでも言おうか。
私はまだ捕まってあげないよ。
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