悪魔、触れる




「沙耶さん♪」
「ワンパターンだなオイ」

登校して初めに目に留まった愛しい人に近づく。いつものお決まり事に、先輩のブン太は呆れるばかり。

「おはよう二人とも」
「…ハッ!」

いきなりピタッと止まり、おずおずと様子を伺う赤也。

「?どうかしたの切原君」
「…だって、好きでもない相手に抱き着かれるって嫌でしょ?」
「あー…ふふ、それを気にしてたんだ」
「だって…!嫌われたくないし!」
「別に嫌いじゃないのに。スキンシップには慣れてるよ」
「何それ!スキンシップに慣れてるとか…」
「気にしないの丸井君!いいよ…おいで?」

その言葉を聞いてぱぁぁぁぁっと明るくなり、勢いよく抱き着く。
それをなんとか倒れないように受け止める沙耶には正直、ブン太は驚いた。

「わぁい!!やっぱり柔らか!」
「何ソレ!ははっくすぐったいよ切原君」
「俺のことは赤也って呼んで欲しいッス!」
「わかったよ赤也!」

なんて付き合ってもいないのにこんなにも抱き合っているのか、不思議に思うブン太。

「…お前ら、付き合っちまえよ」
「えー?何か言った?丸井君」
「なんも…」







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