好きです
「この気持ちをどう伝えたらいいか、わかりませんが…私は、若くんを追いかけてきました」
「知ってる」
「私、毎日が楽しくて」
いつも側に貴方がいてくれてとても楽しくて、安心していました。
それが貴方の存在の大きさを知ったとき、特別だって気付いたとき。
「前に……私にキスした時ありましたよね」
「あ…あれは、その」
「いいんです、嫌ではなかったから。でも、モヤモヤしました。あれは…好きな人にするものだって…
でも、それなら好きじゃない私にって考えたら…なんだか悲しくて苦しくて」
「…!好きじゃないなんてことはない!」
「…えっ?」
「お前が今、何を話そうとしてるかなんて関係ない。俺は…」
「ま、待ってください!」
「俺はお前が好きだ」
「本、当に…?」
「お前に嘘は付きたくない。好きだ」
「わ、私…」
「俺は、お前が危ない目にあった時に、お前が俺の側にいないことが腹立たしかった。無力さもあるし、俺の知らない所で…傷ついてるお前を考えたくない」
「若くん…」
二人は、同じ想いをしていて、少しすれ違えどお互いをいつも考えていた。
同じ想いをしていたことを知ると、要は顔が熱くなるのを感じた。
「…若くんも、私のこと…考えてくれていたんですね」
「お前を好きじゃなきゃ、お前の側にいない…なぁ、要の気持ちを聞きたい」
「今更、わかっているのに…?」
「聞きたいんだ。お前の口から」
「私は…若くんが好きです」
その言葉と同時に、塞がれる。
一度目は事故。二度目は、想いが通じあった初めての感触。
一度目は戸惑い。二度目は、嬉しい気持ち。
二人は結ばれてのだ。
「……………若くん、視線が」
「関係ない。」
視線を感じるのは、場所が全教室から見えるグラウンドにいたから。
跡部も嫉妬する程の目立ちをした二人だった。
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