まだ、迷ってます




「一向に引きませんね…」
「忍耐が試されているな…おい、忍足」
「ん?なんや跡部」
「お前が行ってこいよ」
「なんで!?」
「お前が一番喜びそうだからだ」
「跡部やって目立つの好きやろ!」
「俺様の高い体を雌猫どもにくれてやるなんて出来ないからな。樺地、連れてけ」
「ウス」

樺地が忍足の首根っこを掴み、外へ連れていく。忍足の悲痛な叫びを誰もが聞いたが、ただ手を合わせるだけだった。

そして放課後。
鳳は、要がチョコを渡さないのか、疑問に思っていた。

「ねぇ要、日吉にあげないの?」
「チョコですか?」
「うん」
「…私は賭けをしているんです」
「賭け?一体何故?」
「私だって、臆病なんですよ。こんな時、どうすればいいのか…わからないんです」
「…そっか。俺はいつでも協力してあげるから、ね」
「ありがとうございます…」

『もし、この日に二人になれる機会があるのでしたら…渡せるでしょうか』


鳳と別れ、部活が終わるのを待つか、否かと考えて図書室にいると、外は暗くなっていた。
時刻は…7時過ぎ。

「私、何をしているのでしょう…」

帰ろうとして、荷物を見ると、寂しそうにポツンと見えるラッピングされたチョコ。

「……渡せなかった、ですね。雫に怒られてしまいます」
「要!!」
「…!?」

いきなり大声で呼ばれて思わず肩が揺れた。

「やっぱり、居たのか」
「若くん…あの、どうして?」
「聞いたんだ、鳳から」
「長太郎君たら…」
「こんな遅くなるまでいるなんて危ないぞ」
「だ、大丈夫ですよ!」
「ほら、帰るぞ」
「は、はいっ」

自然に出された手を、自然に握ってしまい、お互いが後で赤面するわけだった。








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