私も乙女なのですが




「…こんなものでしょうか」

「あ、あなた…!要が…」
「要…!これで宜しいのですか?父上…」
「これがアイツの答えだ。見守ってやりなさい」



****

「おはよう!要」
「長太郎君、お早うございます」
「よかった…まだ何もないね」
「どうかしましたか?」
「だって、今日はバレンタインだよ?去年は大変だったんだから!」
「あぁ…モテますからね皆さん」
「他人事じゃないよ要は…君も貰う側なんだから!」

お分かりの通り、今日はバレンタイン。
朝早く来た二人は、まだ何もない下駄箱に。

「では誰もいない内に…お誕生おめでとうございます、長太郎君」
「! 知ってたんだ!ありがとう」
「バレンタインチョコもありますよ」
「意外!!チョコとかあげないと思ってたよ!」
「はは、雫に急かされまして…」
「何はともあれ、嬉しいよ」

静かな廊下で楽しく喋っていると、教室に見慣れた人が。

「…何、朝からやってるんだお前ら」
「うわぁ、不機嫌だね日吉」
「…ふん。」
「若くんも朝から避難ですか?」
「まぁな。去年は大変だった」
「俺と同じこと言ってるよ日吉〜!気持ちはわかるけど」
「お二人はモテますから」

やっぱり自分の状況をわかっていない本人は、クスクスと笑っている。
それを見て二人は心配そうな顔をしていた。

「…わかってない」
「うん…」



****

「要君!受け取って!」
「きゃー!私も!」
「あはは、ありがとうございます…」

予想通りの光景にため息と、哀れみの目を向ける二人だった。
二人も同じ目に遭ってはいるけど。

なんとか避難し、テニス部部室は、やはり安全だった。

「皆さんもゲッソリしてますね…顔が疲れてます」









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