気付いてしまいました




今度ははぐれないように、しっかり手を握る。
最初はぎこちなかったけど、落ち着いたものだ。

二人は休める場所に向かい、腰を下ろした。

「ありがとうございます…若くん」
「いや。俺がしたかったからしたんだ」
「…」
「…」

沈黙。二人になって気まずくなるなんて思わなかった。

最近の事件を考えれば話せないわけである。

「なぁ須藤」
「は…はい?」
「この前は悪かったな」
「…!! な、そんなこと…」
「勢いでしていいものじゃない。大事なことだろ」
「…そうかもしれません。でも過ぎたことですよ」


「俺は、お前を守ってやりたい」
「え…?」
「お前の、味方だからな」
「あの…どういう意味…」

まただ。あの時の真剣な眼差し。一体なんの意味があるのか。
なんだか…

「(凄くドキドキする…これは)」
「(こんなにもコイツが愛しくなるなんて)」

「(私、若くんが…好き?)」
「(やっぱり好きだ。)」

二人の気持ちは同じだった。ただ欠点といえば、お互いを縛る昔からの“友達”という概念。

相手はそうは見てくれないと思って一歩を踏み出す勇気がないこと。
日吉は、なんとか勇気を出そうと、少し距離を縮める。

「(あれ、若くんが…近い?)」
「要」
「!」
「…要」

名前を呼ばれてまた、胸が跳ねる。
こんなに名前を呼ばれることが胸を熱くするなんて。

「若くん」
「要」

互いの距離が近づく。
二人の鼓動も早くなる。


〜チャームポイントは〜泣きボクロ♪

KYなメロディに硬直した。

ハッと気付いて離れる要。
携帯を手に取り、舌打ちをする日吉。

「…あのクソボクロが…」
<<なんか言ったか>>
「いいえ、なんですか」


「(私…私、若くんが好き…!好きですよ雫!)」


こうして日吉の勇気は不発に終わるのだった。




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