再び…会うのが嫌と言う訳じゃ




年が明け、複雑な想いで二人を待つ。

「あ、来たよ!」

横目で見ると、袴を着た二人がやって来た。日吉の姿を見た途端に胸が弾む。

「…っ明けましておめでとうございます!」
「「おめでとう」」
「あれ、なんか違うと思ったら…要、と雫は晴れ着なんだ!綺麗だね」
「……」

要が珍しく女装?をした姿を見て日吉は言葉を失い、魅入ってしまった。その自然に気付いた要は赤面して俯いた。

「…日吉!似合うよね」
「あ、あぁ…」
「他に言うことないわけ…!?」
「し、雫!いいから…」

今、日吉の目にはいつも以上に要が輝いて見えていることだろう。
あの一件以来、どんなことも、可愛く見えている。

「(なんか…抑えられる気がしない)」
「じゃあ参拝行きますか!」

人の長蛇の列に呑まれないように、掴まったり、手を握ったり。まぁ、そんなことを二人が出来るはずもなく、応援団二人はヤキモキする。

「「(早くくっ付けばいいのに)」」

やっと賽銭箱に辿り着き、賽銭を投げ入れ祈る。

「(今年も良い年でありますように)」
「(今年こそ下克上)」
「「(二人が結ばれますように!!)」」


「あ、すみませんちょっとお守り買ってきます」
「じゃあ僕の分も」

一人買い物に行き、家族の分、友達の分を購入。
三人が待つ所へ向かう。

「お待たせしました。行きましょう」
「そうだね、次はどうする?」
「そうだねー次は…」

要はカバンに財布とお守りをしまっていていて忘れていた。誰かに掴まるのを。

案の定、前の人にぶつかり「ごめんなさい」と言ってる間…

はぐれてしまった。


「あれ?長太郎君?雫?…若くん!!」

はぐれて少し心細くなる。
不覚…

「…若くん……」
「呼んだか?」
「…!」

名前を呼んだら、手を掴まれる。
その人の顔を見たらホッとした。

「若くん…どうして」
「お前がいち早く居なくなるからだ…おかげで俺は―…」

不安になった。


また、俺のいない所で悲しい顔をしてるんじゃないか、と考えたら。

「二人の所に戻る…ん?」

突然、携帯が鳴る。

“お二人さん、ごゆっくり〜(^_^)v”

「…嵌められた」
「え?」





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