聖夜に想うことは
―――たった数秒。それが長く感じた。
突然のキスに、余韻に浸ることなく二人が感じたのは…
「!!!」
「……」
「(今、俺は何を…!?)わ、悪い!」
「……は」
やっと正気に戻り自分のしたことを理解し、謝る日吉と、未だに理解出来ずに瞬きを忘れた要。
「…っ!あ、あのな――…「日吉〜そろそろお開きだ…よ?」
「…!」
鳳の登場に驚き、その場から逃げてしまう要。
「…どうしたの?なんか顔が赤く…あ、まさか?」
「い、言うな!」
「うわ〜やっちゃった?段取り踏みなよ!」
****
「…っはぁ!はぁ…」
いきなり。
これって…どういう意味、なのでしょう。
若くんは、なんで好きでもない人に?
――好きでも、ない――
なんだか考えたら胸が痛かった。
「…うっ…〜〜!」
なんだか、悲しいのか涙が込み上げてきた。
「なんなのですか?これ…」
今は戸惑うしか出来ない。全てが理解出来ないなんて…
聖夜に起きた出来事。それは、とても幸福なことなのに…二人には、戸惑いと迷いと、切なさを残しただけ。
日吉は要が好き。
要はわからずにいた。なんでそんな気持ちになるかを。
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