聖夜の混乱の末の過ちでした




日吉に付き添い、風の当たる所まで行く。
空は雲もなく紺色をしていて、街並みは聖夜とあってイルミネーションが綺麗だった。

「大丈夫ですか?」
「正直、平気じゃない…」

予想以上にテンションが下がっている日吉を見て、なんだかどう声を掛けていいものか、考えてしまった。

「ごめんなさい、あんなことするとは思ってなくて…言えば良かったです」
「…いや、お前は悪くない…うっ!」
「そんなに気分が悪いんですね…?ごめんなさい」
「いやだから謝らなくても…」
「あ…はい…あの、私に何か出来るなら言ってくださいね?」
「…そんなに気にす………、ん。そうだな」

そう考え込む日吉は振り向くなり要を見つめた。

その眼差しは真面目で。要を捉える。

「なんでも…するのか?」
「私に出来るのでしたら」
「…お前が嫌がるようなことでも?」
「私の弟がした償いになるのでしたら…なんでも」
「じゃあ…




口直し。」



「え、…っ」


…要は混乱していた。
今自分に起きたことの収拾が付かない。

何か、柔らかいものが…その同じものに触れる。


やっと、理解した。

キスされたと。






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