お久し振りでございます




「今日も朝から跡部さんがウザかったな…朝から見るとキツイ」
「日吉!そんなこと言っちゃダメだよ!」

朝練を済ませて鳳と教室に向かっている途中だった。
ふと、先を見ると…小柄な奴が歩いていた。
…見たことがない。転入生か?


「お前等席に着け〜!転入生を紹介する」

教室が騒がしくなる。俺には関係ないな。
俺の目標は、跡部さんを越えることだ。

「須藤要です。宜しくお願いします」

丁寧に頭を下げる転入生。
男女共に「可愛い〜」と騒ぐ。…あれ、男だろ?可愛いとか言われるなんて可笑しいよな。

「席は……日吉の隣だ」
「…日吉?もしかして日吉若…ですか?」

何かに気付いた転入生は俺を見ると…
「若くん!若くんじゃないですか!」
「!?」
「お、なんだ知り合いか?それならすぐに仲良くなれるな!」

誰だアイツ。あんな女々しい奴は知り合いにいないはずだ…
転入生は俺の隣に立ち、手を差し出してきた。
「宜しくお願いしますね、若くん。…そしてお久し振りです」
「誰だお前。馴れ馴れしい奴は嫌なんだが」
「あれ、お忘れですか…そうですね、今はこんなだし」
「は?」
「私は幼い頃に貴方と戦い負けた須藤ですよ、貴方に『強くなれ』と言われて…強くなり追って来たんです!」

嬉々と話す須藤。ん?須藤?
…まさか。

「お前…まさか、ちょっと来い!」
「え?どうしたんですか」
「どうしたもないだろ!」

確信をした俺はコイツを人がいない所まで連れてきた。確めに。

「お前、女だろ?なんでそんな恰好してるんだ」
「あぁ、男性みたいに育ったので今更女性にはなれないな、と思って話をしたらお祖父様が許可して下さいまして」
「いやいや、ダメだろ。バレたらどうするんだ!?」
「その時はその時。成るようにしかなりませんよ」


相変わらずのクールさに安心のような不安な俺の気持ちを余所に…須藤は穏やかに笑う。
久し振りの再会は、不安が混ざる…これからの災難の始まりなんだろうか。



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