お手伝いしましょう
10月半ば、この時期の学生の楽しみは「文化祭」である。
「1ヶ月後の文化祭に備えて、委員会は今日から忙しくなる。と、いうわけで、その手伝いを二人決めるぞ!」
えぇぇぇぇ!?とブーイングの嵐。
「文化祭実行委員会ってどなたなんですか?」
「あぁ、アイツだ。神山」
「…あれ?あの人はどこかで会いましたね」
「覚えてないのか?前に柔道の試合していたじゃないか」
「そういえばそうですね…神山君って同じ学校だったんですか」
「まずはそこからか…同じ学校だ。そして同じクラスだ」
「そうだよ須藤。酷いなぁ…俺は覚えてたのにさ」
「ご、ごめんなさい」
「ははっいいさ、気にしてないし。じゃあお詫びに手伝ってくれる?」
「私で良ければお手伝いしますよ」
神山隆、日吉と要のクラスメイト。普段は帰宅部だが、柔道を習っている。クラスでも明るくて、友達も多い。
「せっかくだから日吉もどう?」
「…いや、俺は部活がある」
「そうかぁ残念。須藤と二人かぁ!まぁそれでもいいけどね」
「……少しでいいなら俺も手伝ってやる」
神山の挑発的な言葉にうまく乗せられる日吉。こうして二人は手伝いをやることになった。
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「へぇ、二人とも文化祭実行委員会の手伝いやるんだ。実は俺もやるはめになってね」
「じゃあ一緒ですね」
「宜しくね日吉、要」
「別に宜しくするほどでもないだろ」
「いいじゃないですか若くん。仲間ですよ」
「…ふん」
「うわぁ日吉はやっぱり要に弱いよね!」
「鳳…っ!」
二人のジャレ合い?を笑いながら見る要。
これから楽しくも忙しい。
…文化祭準備の始まりである。
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