偶然は必然と申します




「では失礼します、先生」
「あぁ、お祖父様に宜しくな!」

休日、要は合気道の先生のところに祖父からの用件を済ませ、帰宅途中だった。

「蜜柑を貰ってしまいました…先生の所の蜜柑はとても美味なんですよね…あ」
「…」

商店街に差し掛かり、賑わう人混みの中、見慣れた姿が見えて追いかける。

「あの、若くん?」
「!! …なんだ須藤か」
「こんにちは、何か買ったんですか?」
「これか?都市伝説の本だ」
「若くん、好きですよね…」
「まぁな。お前は…」
「先生の所からの帰りです」


「(まさかこんな休日に会うとは思わなかったな)」
「(こんな人混みから見つけてしまう自分が怖いです)」
「…須藤、学校には大分慣れたみたいだな」
「はい、皆さん優しいですし、とても楽しいですよ」
「最初に言ってたよな、俺を追ってきたって」
「あ…そういえば!」
「忘れてたのか…」
「まさか、初日にしかも同じクラス、隣とは偶然続きで今年の運を使い果たした気がしますよ」
「俺も驚いたよ。お前が氷帝に来るなんて」
「…私、約束通り強くなりました。今度試合お願いしますね?」
「…あぁ。強くなったみたいだな。それに…」
「それに?」

――綺麗になった――

無意識にそう言おうとした自分に驚き、言葉を飲み込んだ。

「あ、それでは私はこちらですから。また学校で」
「あぁ、気を付けろよ」



「全てが偶然か…いや、必然なのかもしれないな」






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