A貴女を想うこと




要と別れ、三人も幸村の気が済んだみたいで、帰ろうと思った。

「しかし、弦一郎にあんな可愛らしい子が知り合いだったなんてね」
「意外だ。弦一郎もあんなに優しくしてる所をみたことがない」
「お前等…別にそんなことはデータにもならんぞ!」
「あー楽しかったなぁ。明日も早いし、帰らなくちゃね」
「あぁ。データの整理もしなくては…ん?どうした弦一郎」

ふと立ち止まり、何かを見ていた真田の視線の先を見ると、先程別れた要が、日吉と歩いていた。

「あれは氷帝の日吉だね、確か氷帝テニス部と行くとか言ってなかった?」
「…む、アイツ等は居ないようだ…」
「…フッ、眉間に皺が寄ってるぞ弦一郎」
「な…っ!」
「はははっ弦一郎、彼女が好きなんだな!」
「たたたたたわけ!そんなわけあるか!」
「なら何故そんなに気にする?」
「…わからん」
「楽しそうだね二人。いいのかい?」
「俺は…別に構わない。アイツが幸せなら…」
「ほらやっぱり好きなんじゃないか!」

試すように言ったことに反応して、楽しそうに笑う幸村を憎たらしく思ってしまった。

「…俺は、須藤を好きなのかもしれん。だが、アイツが幸せならいいんだ。」
「純だなぁ弦一郎…まぁ、お前がそれでいいなら、別にいいけどさ」



――貴女を想うことを許してください――





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