美しい思い出を作りましょう
「少し疲れましたね」
「少し休むか」
近くの境内に入り、休むことにした二人。
こんな時に辺りには人がいないというベタな展開である。
「若くんと二人なんて今までなかっですね。とても楽しいです」
「そ、そうだったか?確かに俺も楽しめた」
そんなことを言われたら変に意識をしてしまうものである。
「…やっぱり浴衣は男物なんだな」
「今は男ですからね。中途半端にはしたくないです」
「女物でも良かったろうな」
「…え?」
「いや、なんでも…」
(なんかいい雰囲気ですね…あと一息なのに!)
(ここは俺様の出番だ。見てろ)
跡部は何かのスイッチを押した。
すると…
ヒュ〜…ドォォォォン!
「「!!」」
夜空に花火が。
「うわぁ…綺麗です…」
「見事だ… …でも今日が花火大会とは知らなかったな」
「確かにそうですね。」
「スミマセン、Mr.日吉デスカ?」
「(!?何故外国人!?)そうですが」
「コレヲ貴方ニ」
一枚の紙を渡された日吉。そこに書いてあったのは…
“俺達は先に帰る。要を家まで送ってやれ-跡部-”
「…あの野郎…っ」
「どうかしたんですか?若くん」
「あぁ、跡部さん達は先に帰るらしい。」
「あれ、そうなんですか?私達もそろそろ帰りますか?」
「そうだな。あんまり遅いと心配するだろう」
こうしてあんまり、ドッキリな展開は起こらないまま夏祭りは終了した。
しかし二人には美しい花火と、楽しい思い出が残ったのである。
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