繊細な指先(鳳)
「ねぇチョタ、ちょっといいかな」
「何?どうかしたの?チノ…うわっ」
「やっぱり…」
今、二人の状態は手を絡ませている状態にある。
いきなりだったので慌てるのも無理はない。
「なに!?」
「チョタってピアノやってるでしょ?楽器演奏者って手が綺麗なイメージあるから確かめたくて」
「だっだからって…心臓に悪いからやめてよ!」
そういうのに未だに彼女はやめてくれず、鳳は一層に紅潮する。
そのことに気付きもせずにまた手を絡めている。
「あの…っ本当にやめて……ッ」
「?」
「好きな人にそんなに触られると…俺だって気が気じゃないから…!」
「ご、ごめん!」
「謝らないでよっ!別に嫌じゃないんだ…けど」
「うん、けど?」
「俺だって触れてもいいよね?」
「…いいよ。チョタなら……」
承諾を得ると鳳は嬉しそうに離れた手をまた繋ぐと、先程と同じく絡める。
これから恋人の幸せな一時なわけである。
「チョタの手、大きいね。綺麗だし…私、大好き」
「俺もチノの手は柔らかくて小さくて可愛いから好きだよ」
なんて甘い言葉を交わすんだろうか。
ピアニストの手は繊細で綺麗。
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