ジャージを脱がさないで(真田)
立海にこんな噂がある。
レギュラーのジャージを得られれば、マネージャー、元い彼女になれるだの云々。
「――というわけで、盗んでやったわけだ!しかも真田とかレアすぎるでしょ!これで真田も「たるんどる!」わけなんだな!ふはははは」
下品に馬鹿笑いをするチノ。彼女は、なんだかんだで、好きな人は苛めてしまうツンデレタイプである。
つまり、真田が好きなんだ。
「そんなわけで!でーん!」
真田がいるクラスに来て、見せる。
「な…お前は何をしてるんだ!?たるんd…」
「たるんでるのはアンタだ!どうだ、これで観念した?」
「返せ!これでは…、…ん?待て三浦、これは俺のジャージじゃないぞ」
………え。
「うそ!真田のロッカー見たもん!」
「どこの変態だ。」
「う〜そんな〜!せっかく危険を犯したというのに…てか、じゃあこれは誰のよ?」
ガッッッ!!
三浦の頭に衝撃が走る。頭を鷲掴みされギリギリいっている。
恐る恐る後ろを振り向くと、笑顔だけど雰囲気は柔らかくなくしている魔王様、いやテニス部部長の幸村が立っていた。
「…ねぇ、それはどうしたのかな三浦さん…?」
「い゛だだだだだだ!!!離せ幸村!!」
「どうしたのかなって、聞いてるんだ。答えてくれない?」
ギリギリ…
「いたたたた!話すから、話すから〜!」
「三浦の手にしてるジャージは、精市のものである可能性は100%」
後ろから現れた柳。それを聞いて固まる。
「うそ…幸村の?マジか?いやいやいや!!あのわざとではないですよ!?」
「ふふふ。何?俺のこと好きなのかな?チノ☆」
「名前呼びやめてぇぇぇぇぇぇぇ!!」
あはははは、と笑う幸村はなんか柔らかなものになっていた。
「冗談だよ、別に気にしてないよ。ね、弦一郎」
チラッと真田を見るとなんだか顔が赤い。
「? なんで真田?つか、次はリベンジしてやるから…かかかか覚悟しな!」
退散すること風の如し。すでに姿がない。
「早いな…しかし、まさか三浦が弦一郎を好きだとは…お前も赤いぞ」
「う、うるさい。」
「応援してやってもいいけど、もちろん応援代取るから」
「なっ!?何故だ精市!」
…という会話が繰り広げられてることを彼女は知らない。
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