書きかけ風丸 気が向いたらメインに移るかも
あーあ、つまんないなあ。 日曜日の午後って暇だ。すごく暇だ。何していいのか分かんない。開け放された窓からセミの声がながれこむ。うるさいうざい。あーイライラする、クーラーほしいなあ。さっきまで寝てたから、もう寝る気にはなれないし、ゲームは昨日あきるほどやった。つまんないつまんないつまんないー。ベッドの上をゴロゴロ転げ回ってみたけど部屋にはやっぱり私ひとりだけだ。そうだなあ、誰かと遊びたいなあ。誰にしよう、風丸でいっか。風丸んちいつも涼しいし、Wiiあるし。カチカチとボタンを押して電話帳の「か」の欄から風丸を探し出す。って言っても私の電話帳には基本的にはサッカー部のメンツくらいしか登録されてないんだけど。通話ボタンを押してケータイを耳に当てるとプルルルという音がきこえる。風丸んちで、何しようかなあ。イナスト持ってこっかな、いやでも風丸の部屋でナルト読むのもいいな。この前四十巻くらいまで読んだから続き読みたい。あ、つながった。風丸ー、あそぼー。
「断る」
おおう。断られた。うーん風丸ならまずOKしてくれると思ったんだけど。でも、ここで逃げちゃ、もとあ引いちゃダメだ。風丸には押して押して押しまくるのが吉である。
「というわけで遊びましょう、風丸さん」 「どういうわけだ、嫌だからな」 「風丸が食べたがってた新発売プリッツ持ってくから」 「だめだ」 「…ウッ…どうしても、ダメなの…?」 「くっ…だ、だめだ!」 「チッ」 「…おい、舌打ちが聞こえたぞ」 「それはそうと遊びましょ」 「いやだ」
…え?あれ?あなた本当に風丸さん?風丸一郎太さん?「俺のケータイに俺以外が出るかよ」それもそうでした。だけど私の知ってる風丸はとことん押しに弱くて、何だかんだで私に甘いやつだ。その風丸が、今日はピシャリと断わってきた。やっぱり偽物…!「アホか」。はい、すいません。サッセン。「風丸くんのいけずー」「はいはい」「遊ぼうよー、暇なんだよー。部屋に入れてくれるだけでいいからー。ナルト読まして」「嫌だ気が散る」。気が散る?ああ、私がいたら風丸、ムラムラしちゃうってことね!やだあ風丸ったら!「…お前、本気で言ってるのか?」。え?冗談に決まって…はっ、もしかして風丸、図星だったの!?「そんなわけないだろ…今週の火曜からなんの日か、言ってみろ」。火曜?つまりあさって?なんかあったっけ?コミックスの発売日?ちがう、それは再来週だ。って言うと…今週…ああ、「私の女の子の日?」「なっ…!ばか!」。あはは風丸照れてやんのー。今ごろ顔真っ赤なんだろうな。「だいじょうぶ。女の子の日は先週だったから」「だ、誰も聞いてないだろ!?」「知りたいんじゃないの?」。あはは風丸あせってるあせってる。風丸はからかいがいがあっておもしろいなあ。「なんでそうなるんだよ!今週の火曜からは、テスト週間だ!」。…おもし、ろい…なー……。
「そ、れ、で」 「うん」 「なんでお前がここにいるんだよ」 「風丸くんがいっしょにWiiをしてくれると聞いて」 「誰がいつそんなことを言ったか!」 「まあいいからいいから。おっじゃまっしまーす!」
おお、久しぶりの風丸家だ、風丸家の匂いだ。「風丸の匂いがするー!」「お前は犬か…」しぶしぶながらも結局私を家にあげてくれる風丸はやっぱり私に甘い。わーい、優しい風丸ばんざーい!嬉しいので持っているコンビニ袋をふりまわす。きゃっほーい、風丸の家ー!「…おい、なまえ」「ふぇ?」「早く来い、勉強教えてやるから」。か、風丸さん…あなたって人は……!「風丸だいすきー!!」「はいはい」
「はい、風丸。新発売のプリッツ」 「お、サンキュ」 「…これで社会のノートをコピらせてくださいませ」 「……今回だけだからな」
ありがとう風丸!風丸さんマジ菩薩!
「はいはい…で、何から教えればいいんだ?」 「数学からお願いいたしまする」 「了解。とりあえず飲みもん持ってくっから問題解いて待ってろ。」 「あーい」
そうは返事したものの、階段を降りる風丸のとたとたという軽快な音が遠ざかっていくにつれて、私のやる気も駆けていく。ちぇー。そうは言ってもさー、わかんないんだよなー。だけど、せっかく教えてくれるという風丸の気持ちを無下にするわけにはいかない。なまえ、やります!
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