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甘味餡蜜??
 「真朱先輩、今日の放課後暇っすか?」

 テニス部の朝練が終わり、片付けの最中珍しく光くんが寄ってきた。
 今日は月曜日だから、部活はオフだし特に用事はない。頷くと、光くんの目がキラリと輝いた。
 う、うーん…、この目はまた新曲ができたとかそんなカンジかなぁ。お願いだから前みたいに徹夜レコーディングの末に、喉が枯れませんように。

 「ほな、ちょぉ付き合ってください」
 「―?いいけど、なにするの?」
 「それは放課後までのお楽しみっすわ〜」

 授業終わったら迎えにいくんで。といって去っていく。
 結局、なにするんだろう?
 疑問に思ったのは一瞬。ともあれ放課後になればわかるんだし、一時間目は移動教室だから早く教室に行って準備しないと。
 気持ちを切り替えて過ごすうち、あっという間に放課後になった。

 「真朱先輩、迎えに来ました」
 「あらぁん、光珍しいやないの。うちに会えなくて寂しかったのねぇ〜、あーん、いじらしぃ!」
 「浮気かぁぁぁ!」
 「先輩らうざいっすわ。キモイ勘違いは夢でもせんでください」

 光の速さで絡みにいった小春ちゃんたちを一刀両断。
 この3人はなかなかの名トリオだよね。いろんな意味で。
 
 「お、財前デートか?やるやないか」
 「・・・」
 「おい、まって、待ってや財前くん!!小春らには毒舌で俺はシカトって待遇悪ない!?」
 「真朱先輩行きましょー」
 「徹底的にシカト!?」
 「あ、あはは・・・えーと、いってくるね。謙也くん」

 僕が返事しても意味はないんだろうけど、とりあえず挨拶して先を行く光くんを追う。

 「光くん、あんまり苛めちゃ可哀想だよ」
 「謙也さんはあんなモンでえぇっすわ」

 ・・・わかりにくいけど、甘えなのかな。彼なりの。

 「ところでこれから何をするの?」
 「期間限定の冷やしミルクフルーツぜんざい食いに行くんすわ」

 いつもより、五倍くらい目がキラキラして生き生きしてる。
 そういえばぜんざいが好きって、自己紹介のときに言ってたな。
 話している間にお気に入りだという甘味処に着く。店に入る直前に、光くんが手を繋いできた。
 びっくりした・・・。

 「・・・冷え性なんだね」
 「・・・そこっすか」

 だってすっごく冷たいんだもん。
 手を繋いだまま店に入る。見たところ、カップルが多い。
 席に通されると、光くんはろくにメニューを見ずに「期間限定のやつで」と注文する。さすがに対面するように座るために手を離す。

 「ところでなんで僕を誘ったの?」

 別に、限定メニューを食べるだけなら一人で来られると思うんだけどな。

 「まー、女なら誰でもえぇんすけど、頼みやすかったんで」
 「女の子、がいるの?」
 「っす。下手な女子に頼むと変に誤解されそうやから」
 「・・・それってどういう?」
 
 詳しく話しを聞こうとしたところを遮るように、お店の人が注文の品を持ってきて…

 「うわぁ、おいしそう!」
 「・・・」

 僕の言葉に、光くんが激しく首を振った。
 目は口ほどにものを言うって言うけど本当だ。光くんの目が「うまそう」を連呼してるのがなんとなくわかる。
 件のぜんざいは、季節のフルーツがハート型のお皿に盛られていて、その上にあんこ、バニラアイスクリーム、白玉、あとは…牛乳寒天かな?ピンクと白のハート型が可愛い。二人そろって口をつける前に写真を撮る。明日小春ちゃんたちにも見せてあげよう。
 どれから食べようか迷ってから、あんこと白玉を掬う。

 「ん〜、おいしい!」

 しあわせ。
 あんこの甘さはしつこくないし、白玉もモチモチしててすっごく美味しい!!
 一通りの具に手をつけ、むぐむぐと口を動かす光くんを見る。
 真剣になって食べている姿がかわいい、というか年相応だ。大人びた光くんの中学生らしい一面がなんだか微笑ましい。
 口直しのほうじ茶も、香ばしくて美味しかった。
 食べ終わり、誘ったのは自分だからと僕に一切伝票を見せることなくレジに行く光くん。割り勘でいいのに。こういうところが、意外と男の子らしい。
 今度今日のお勘定代わりになにか奢ってあげよう。

 「つれてきてくれて、ありがと」
 「いや、礼言うのはこっちっすわ。彼女のフリありがとうございました」
 「彼女のフリって・・・」
 「気づいてなかったんすか?」

 珍しく目を丸くしながら、店の前に張ってあるポスターを指差す。

 “甘いふたりの恋ぜんざい!!冷やしフルーツミルクのハート盛がカップルだとなんと半額!!”

 全体的にピンクテイストなポスターとキャッチに、あぁどうりで中にカップルが多かったんだと納得する。
 前言撤回だよ。光くん。

 「…光くん、うそは、だめ、だよ?」
 「・・・・・・す」

 なぜか顔を青くする光くんを引っ張って店に戻り、事情を話す。
 オーナーさんは、常連の光くんならかまわないと笑って許してくださった。こんな詐欺まがいのことしてごめんなさい。 
 
 「いやー、しかし財前くん全否定やったな」
 「・・・その気なくても流石に凹みましたわ」

・・・・・・・・
 さくら様

リクエストありがとうございます!
財前とのデート如何でしたでしょうか。正直、自分あんまり彼に詳しくないんで偽物感半端ないかもしれません。

普通にぜんざい食べて終わってるのは、あくまで仲のいい先輩後輩だからです。
財前からしたら真朱は友人や萌えの対象としては近いけど恋愛感情はなくて、もしそういう風に思っても実際付き合うよりも遠くから見ていたいタイプの子なんじゃないかな、と。甘々が良かったのなら申し訳ないです。

これからも、当サイトをよろしくお願いします!


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bkm