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#35



 万事屋に来るや否や、土方くんときたら寝室の布団に入って「おやすみ」と茶番を繰り出してきた。小悪魔ちゃんなのも悪くねェけど、あまり向こうのペースにされるのも面白くない。逆らってやりたくなる。俺はわざと居間のソファに座ってテレビをつけた。構ってやりたい気持ちもあるけど我慢。
 特に興味もない番組を眺め続けていると、布団からもぞもぞと出てくる気配がした。襖の間から、土方くんが顔を出す。

「万事屋、しねぇのか」
「気分が変わったんだよ。ジャンプでも読もうかな」
「今日金曜日だろうが。どんだけ読み返すんだよ」
「そうだっけ」
「……怒ったのかよ。ちょっと揶揄っただけだろ」
「怒ってねェよ。俺、怒ったとか言ったっけ?」
「……てめェ、こっちに来ねーのかよ」
「それが人にモノを頼む態度なのか?」
「わ、悪かったから! 来てくれよっ」
「来てください、は?」
「……。来て、ください」
「行くだけでいいんだ? ただ寝るだけなら、土方くん一人でも寝れるんじゃねーの」
「だ、……抱きしめて…ください」
「しょうがねェなー……ちょっと待ってろよ」

 その言葉に内心かなりホっとしながらテレビを消した。抱きしめるには着物が邪魔に思えて、インナー上下だけになる。土方くんがそれだけの動作まで意識して緊張したのが伝わってきた。可愛い。意地悪したくなって、電気を敢えて消さないまま布団に入ってやる。近くで見たって綺麗で可愛い。いい男だよなぁと、何回だってそう思う。照れてるのかちっとも目を合わせてくれねーけど。

「お、おい……」
「なーに、土方くん」
「近けェよ……」
「顔が見てェんだよ」
「電気消せって」
「じゃあお前は俺の顔なんか見たくねェってことか。おやすみ〜」
「え、よ、万事屋?」
「………」
「……顔が見たいから、こっち向いてくれ」
「お利口さん、やっと素直になったな」



このあと抱き寄せてキスします。


2019/07/19 17:15
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