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#28



「なぁ、味噌汁の具は豆腐とワカメと油揚げが良い」
「ウチにそんな沢山の食材はありません〜。豆腐だけで我慢しろや」
「偉そうに言うことじゃねェだろうが」
「あ、でもリクエストがあんなら聞いてやるよ? 高級なモンは無理だけどね」
「リクエストぉ? つっても、テメェと食う飯なら何でも美味いしな……」
「……え…?」
「……あ、っ、今のは、わ、わすれろ!」
「……へぇ。お前、それ告白?」
「ちがっ……!ち、違う…よろずや、……っ」
「分かった分かった、大丈夫だよ、お前なら引かねぇし。豆腐で良いならすぐ作るからよ、洗濯……土方?」

 用事を全て言い終えるより先に、腰へ回された腕。背に感じる体温。けれどそこに下心は感じなかった。昨晩さんざん可愛がってやったからそれも当然かもしれないと思っていると、土方がモゴモゴと言った。

「……お前、他の……性悪な男に誑かされたりしたら言えよ。俺が逮捕してやるからな。安心しろ」
「……心配してくれんの?」
「……テメェ、ほんとはツラだって悪くねーし、飯も美味いし、俺みてぇな野郎の身体でも、その……だから、気をつけろ」
「気をつけろってトコより、いま土方くんが恥ずかしくて言えなかった間の方が気になるんだけど。なんだろうなぁ〜? もしかしてだけど、昨日の夜メチャクチャ可愛がられた十四郎くんが掠れたエロい声でアンアン泣きながら俺の名前大きい声で何回も呼んで、チンコの先っぽからびゅーって潮吹いて、最後はなんにも出なくなってビクビクしながら雌イキしちゃったのと関係ある?」
「〜〜て、ッ、テメェな、俺は真面目に……!もういい!洗濯物は俺が干してやる!豆腐でも何でも好きにしろっ」

 顔を湯立ちそうなくらい真っ赤にしながらズカズカと男らしい歩幅で風呂場へ向かう土方を見て、勝手知ったるってのはこの事だなと銀時はクスリと笑った。
 朝からいちゃいちゃして一緒に朝メシ食べるテキトーな遊びの相手なんかがこの世に本気で居ると思ってんのか?
 問い詰めてみたくもなるが、さっき軽く突ついてみただけで可哀想なくらい言葉に詰まり、狼狽えてくれちゃうものだから──ちょうど満開になった花見に誘ったりして、もう少しだけ機を待とう。

2019/04/08 17:45
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テーマ「人外ファンタジー」
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