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#25



雨に湿ってヘタる天パ。水も滴る何とやら。いやンなの絶対ェ言わねーけど。ぬるく篭った空気。狭い軒下。自然と隣に居る奴の匂いを嗅ぎとってしまう。くそ、なんだこれ。普段はうるさいくせに、妙に静かになって沈黙。ふと目をやれば、そいつの首筋から伝わっていく雫。思わず目で追った。いや何やってんの俺。雨のせいで人っ子ひとり通らない。コイツやっぱ綺麗な顔してるよなぁ。視線が合う。慌てて逸らす。み、見てんじゃねーよ。見てねーし、自意識過剰なんじゃねーの。………。………。続かない会話。呼吸の音すら聞こえそう。緊張したような気配。伝染。自分の心音まで早くなる。どうしようどうしよう。なんだこれ。不意に、隣のそいつがクシャミをする。そりゃそうだ、コイツ着流し一枚だもんな、風邪ひくに決まってる。気まずそうにしてるそいつ……いや、土方に向かって、ひっつきそうな喉から声を出す。雨やみそうにねーだろコレ、走れば、俺の家までなら、そんなにかかんねーし。……スマートになんか言えやしない。

2018/12/30 15:00
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