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#23



「降ってんなぁ。延長してく?」

窓の外を見て、意識して。間延びした声を出す。頷け。頷いてくれよ。

「……タクシー代も延長料金も俺が出すんだ。変わんねェだろ」
「へ?」
「お前の好きな方を選べ。言っとくが今日はもうヤれねーぞ」

付け足された言葉に、言い訳できないと悟る。濡れて帰んのが面倒って文句も通用しなくなった。

「……延長してく」

絞り出した声は緊張で掠れている。土方は自分で言い出したくせに、驚きに目を瞠った。

「は……無理すんな。大雨だぞ、止みそうにねェし……ほら、服着ろ。送ってやるよ。次の休みは再来週の」
「そんな話、今は聞きたかねーよ」
「………。これ以上ここに居て、俺とお前が何するんだよ」
「あー……昼寝、とか」

今はまだ、全部うまく伝えられる気がしない。ドロドロした欲まみれで、最高に甘ったるくてこっ恥ずかしい本音は、昼寝なんてガキみたいな提案に変わった。土方はどう思ったんだろう。布団まで戻って、同じように服を着てない身体を勢い任せに抱きしめる。

「……まだ昼じゃねーぞ」
「じゃあ二度寝だな。風邪ひかねェようにしねーと」
「っ、おい」

昨晩、要らないからと隅に追いやった掛け布団を引っ張り上げた。目が覚めたら、再来週の予定を聞いてやろう。これを掛ける意味と理由も、言えたらいいのに。

2018/06/27 15:02
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