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#22



「あーあー、派手にヤったもんだな」
「うるせぇな。どうせ俺ぁ、テメェほど要領良くねーよ」
「誰も言ってねぇだろそんな事ァよ。…全部返り血か?」
「フン。確かめてみるか……?」
「お前、そういうの他の奴にも言ってんじゃねーだろうな」
「どうだかな。煙草寄越せよ副長殿」
「興奮してんの誤魔化そうとしてんだろ。やらねーよ」
「……どっちが鬼だか分かりゃしねェな」
「誰も我慢しろなんて言ってねーっつの。自分が腹減ってんの分かんねェ? 飯、風呂、寝る。これが先だ」
「……風呂が先だ。汗でベタベタして気持ち悪ィから」
「じゃあそれで良いよ。風呂、飯、俺で良いよ」
「オイ最後のは何だ。さっきと変わってねーか」
「お疲れの副長さんを癒すハッピーセットだろ」
「ハッピーセットはテメェの頭だろ」
「アアン? それは髪か頭の中身か、どっちの話だコノヤロー」
「さぁな。両方じゃねーのか?」
「あーあ、銀さん怒ったからな。風呂で身体検査してやらァ」

 ほら来いよ。さっさと帰んぞ。
 そう言って駐車スペースへ歩き出す幹部隊服の背中を見て、捕り物を終えたばかりの不穏な場にそぐわぬ笑いがフツフツと生まれてきた。
 こいつは素直じゃないし回りくどいところもあるし、憎まれ口しかストレートに言えない野郎だと、自分のことは棚上げして土方はそう思う。腕を引かれたわけでもないが大人しく後ろを着いて行くのは、もしも坂田が血濡れた時は、今回の話をダシにしてやろうと思うからだ。坂田のように巧く喋れずとも、一番大事なところは伝わるだろう。触れるのも熱を鎮めるのも全部俺にしとけと──そう言ったら坂田も、締まりない顔をして笑うのだろうか。丁度、今の自分のように。


お題:血塗れの相手の触れ方

2018/06/15 23:19
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