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#20
万事屋に泊まるようになってから、その日に限って俺は朝きちんと起きるのが不得意になった。背中を何度も撫でられるのに気づきながら寝たふりをしていると、髪を何度も梳かれる感触がする。俺は定春じゃねぇぞと内心で切り返してみるが、聞こえる筈もない。
「ひーじかた。おいって、なあ。起きてるんだろうが」
「………」
「寝てるんだ」
へぇ、そっかそっか。企むような笑い交じりの声が聞こえた。
ああ、これはまたゴロゴロと二度寝しちまうヤツだな。夜は寝かせてくれない事も多いし、朝が来たってのに布団から出たくなくなるのも困る。
それでも、目覚ましと一緒に狭い布団に収まるのは悪くなかった。
間も無く両方の脇腹をいっぺんに擽られて耐えきれず、思わず笑いを漏らしてしまえば「よく眠れたか?」と清々しくもあるが少し憎たらしい質問をされる。「どこがだよクソ天パ」不躾に返事しながら、ぎゅっと抱きしめた。
2018/03/23 11:23