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#13



「土方、それネクタイ曲がってね?」
「ん……? そうか? 姿見もねーしよく分かんねぇな」
「いいって、銀さんがやってやるから」

 シュルリと簡単に結び目を緩めて抜き取り、もう一度首にかける。銀時の指先が滑らかな動きでネクタイを結び整えていくのを眺めていたら目が合った。

「っ……見てんじゃねーよ」
「お前がアツイ視線で見つめてくるからだろー?」
「だ、誰も見つめてなんかねぇ!」

 面映ゆい事実に異を唱えたのだが、銀時は機嫌良さげに口角を上げるだけだ。1分程度で『ほら出来た』と示されたそこは、確かに結び目も合わせも自分で結んだものよりきちんと整っていて。ありがとな、礼を言おうとした口が思わず閉じる。
 銀時が熱心に、俺の姿を上から下まで舐めるように視線を這わせてきたからだ。
かと思えば迷いのない手つきで、綺麗に結んだ筈のネクタイを再び解きにかかった。

「坂田……? もういいぞ」
「いやアレだよ、やっぱ十四郎って男前でイケメンで格好いいなぁと思って」
「ば、バカやろう……それが何だよ」
「ムラムラしました。エッチします!」
「ハァァ? エッチしねぇよ!?」

 出勤予定時刻まで残り二時間も無いんだぞ。それは銀時だって分かっているところだろうに、ネクタイは床に落とされて、ワイシャツのボタンは第三まで外され……第五まで外れている。
 優しくするからと嘯く同僚のふわふわ天パを指先で混ぜて観念した。悔しいが、抗いきれないのはお互い様ってやつだ。車の運転はお前がしろよと、耳元でそれだけ命じておく。

2017/09/08 22:00
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