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アニ銀



「zzz…」
「………(なんでコイツ開始10分で寝てるんだ。イビキがうるせぇし…コイツの後ろに座るんじゃなかった)」

土方は早速辟易としていた。映画の内容は、普段好む任侠モノやジブリとは違ったコメディテイストではあるが、その事はさして問題ではない。
元の身体を取り戻して間もなく、屯所にやって来た万事屋から渡された映画チケット。

たまにはいいかと来たものの、席に腰掛けるのと同時、ふわふわ綿飴の存在に気づいた。
近藤と席を交換しようとも思ったが、彼はすっかり目の前の席にいる妙に心を奪われているようで。

「そ…総悟、席替われ」
「嫌でさァ面倒臭ェ。アンタの席マヨまみれなんでしょう?」
「マヨまみれの席って何!?」
「ちょっとー、後ろのマヨの人近所迷惑なんだけど。まさかずっと喋ってるつもりか?」
「そうだぞ土方土下座しろー。…なんなら、俺が口聞けなくしてやりやしょうか旦那ァ」
「へぇ、面白そうだな。俺にもやらしてくんない?」
「まずこのボールギャグを使って」
「だだだ黙ってろドSコンビ!」

隣の一般客の視線が居た堪れない。自分が一番恥ずかしい思いをしている気がして、土方は唇をぎゅっと引き締めて銀時を睨みつけた。

「え、なにその泣きそーな顔。ホントに猿轡してほしいの?」
「銀さん!そんなにSMがしたいなら私、私っ…ここでだって……」
「うるせぇよ雌豚。つーか何でお前の席俺の隣?俺も後ろの席が良かったわ!」
「酷いわ銀さん!そんな冷たい事言って………興奮するじゃないのォォォォ!!」
「頼むからもう黙ってろテメェら!」

何故自分の周りだけこんなに喧しいのか。
上映前はそんな事を思っていたが、上映中の今は銀時のイビキが聞こえるくらいで静かだ。
隣のくノ一忍者が銀時の胸板に擦り寄るのを見た時、なんだか形容し難い疼きを覚えたが、マヨをポップコーンにかける事で消し去った。


***


「…オイ、近藤さんと総悟はどうした」
「どうしたもこうしたも、映画でベソかいたオメーが顔洗ってる間に帰ったけど」
「なっ、泣いてねえよ!目にゴミが入ったんだ!」
「へーえ。まだ目が赤いけど大丈夫ですかァ?」
「触んな天パ」
「…なーんかアレだ。アイツらには悪ぃけど、あんまり集中出来なかったわ」
「アイツらも、鼻提灯出して寝こけてた奴にだけは言われたかねえだろうな」
「いやだってさァ、反応しなけりゃ諦めるかと思ったんだよ。作戦だったんだよ!最初の五分くらいは!」
「結局同じだろうが!」
「しょうがねぇから土方くんともっかい映画見るか。今度は別のヤツにしようぜ。アレは?『男の股の間』」
「ピンクフィルムじゃねーか!」




−−−−−−
ちょっとモヤモヤしちゃう土方さんを書きたかったんですが、
どさまぎでデートしようとする坂田さんの小ネタになりました;

Thank you for reading!

2015/06/25 16:50
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