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ありがとうございます



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金木犀の香りは、あの日のほろ苦いような記憶を思い出させる。

銀時に連れられて、初めて家に上がった時の事だった。マンションの入り口の植えこみでは、金木犀が橙黄色に色づいた花をつけ、甘い香りを漂わせていた。
秋に咲くのだとなんとなく認識していた程度の花だったけれど、花の季節が案外早かったので土方は驚いたのだ。

「毎年この時期になるとさ、すげーいい匂いすんの」

土方が口を開くより先に、銀時は軽やかに笑った。深呼吸する彼の横で、土方も少しだけそれに倣う。涼しい空気と一緒に鼻腔にふわりと流れ込んできた香りに、心臓がトクトクトクと忙しなくなった。

甘い香りの中で芽生えたその思いは、土方が高校に上がる頃、自分の意思で見なかった事にした。
金木犀の香りも、二人の関係についた腐れ縁の友人という名前も、結局小学生の時分から変わらなかった。土方は銀時に想いを云えず仕舞いだったし、それどころか、香りの感想すら云えず仕舞いだった。
けれど香りと記憶は強く結びついていて、金木犀の匂いを嗅ぐ度にあの日のことを思い出す。
いつまでも鼻の奥に残っているような、独特のモワリとした香。土方はいつしか、その木の前を通る時に息を止める事を覚えていた。



-------_φ(..)

という感じ。導入だけですが、なんとなくやってみました。インスパイアは発言小●さんより。この後紆余曲折あってからの両想いハピエンが良いと思うんですがどうでしょう皆様←聞くな
ラストは甘ったるい香りの中で坂田君に口づけの一つくらいしてほしいですね。


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交わりが深くなって、土方は何とか酸素を取り込もうとする。瞬間、あまり嗅がないように努めていたその香りが、夥しい甘さをもって鼻腔に絡みついた。口内の熱にも翻弄され、目眩でもしてきそうだ。
壊れてしまいそうなくらい高鳴る心臓の音がどちらのものとも分からぬまま、二人は濡れた吐息を漏らした。燻るような熱を秘めながら。

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遊びすぎたかも\(^o^)/

2014/09/27 12:49
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