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#41 - 左銃+ささろ



「……あーもう、なんや簓のやつ」
「私も同意見ですよ。こちらのことは置き去りですかね?」
「入間さん……」
「ですが、貴方の恋人が貴方に惚れ込んでいることは私から見ても明らかなので。嫉妬なんてする必要はありません。自信を持ってください」
「あ、ありがとうございます……」
「ふふ、ウチのリーダーは最高の男なので心配になる気持ちも分かりますけどね」
「っ、簓かて、格好ええと思う……!」
「おや、左馬刻と張り合うつもりですか?」
「ウチの簓の方が優しいし最高にオモロいやろっ。どこのどいつも敵わん……!」
「……ふふ、白膠木さんは幸せ者ですねぇ。貴方に随分と愛されているようで」
「へ、……ぁ、なんやすんません…! つい熱くなって……でもお二人もデートなんですよね?」
「私と左馬刻はチームメイトですよ。友人であり仲間であり、恋人ではありません」
「ええっ……!?」
「何を驚いてるんです?」
「だってコンチネンタルホテルでしょう? あんな高級ホテル普通泊まります……!? それに前々から予約せんとあかんし!」
「ああ……左馬刻の金銭感覚は私にも中々理解できませんので驚くのも無理はありませんね。観光するのにアクセスも良いですし、丁度よかったんじゃないでしょうか」
「ええ……?」
「何や随分と楽しそうやないか盧笙!」
「簓ひっつくな! ……それより聞いたか? この二人コンチネンタルの」
「スイートルームやろ? でっかい窓からオオサカの夜景一望できるし、左馬刻も気合い入っとるなぁ」
「うるせぇなそこしか空いてなかったんだよ。ヘンな勘違いすんじゃねぇぞ」
「何を勘違いするんだ。空いてなかったなら仕方ねぇし俺は文句なんか言ってないだろ? 俺一人ならそんなところ行く機会もねぇし、嬉しいよ。高くついたんじゃないか?」
「フン、そのくらいなんともねぇよ……部屋にネスプレッソあるし、サウナと屋内プールとジャグジーも……いやプールには行かせねぇわ、ウサ公の水着姿なんざ見せるわけねぇだろ」
「? 俺は行かねぇよ。サウナで汗かくのもプールで泳ぐのも好きにすれば良いだろ。ジャグジーは気持ちよさそうだな」
「俺様も興味あるわそれ。一緒に付いてくから声かけろ」
「はいはい。バーとレストランも良さそうだから、それも一緒が良いよな」
「おう、付き合ってやるよ」
「…………」
「…………」
(いやリサーチ完璧やないか……そんで独占欲えぐいな?)と、二人の心の声が一致する。
「楽しみだな。でも夜のホテルのバーなんかロマンチックすぎるか……? カップルが多いだろうし、少し恥ずかしい気もする……」
思い当たった懸念に銃兎が目を伏せる。左馬刻は「へぇ」と揶揄うように笑った。
「食いしんぼウサギのくせに何言ってんだ。美味いモン食って酔っちまえばカップルなんて気になンねぇだろ」
 その声はラップバトルでは聞けない温度をしていて、銃兎が言い返してくるための隙をわざと作っているようだった。察してしまった二人と気づかない一人。既に察している二人に向けて(テメェら何も言うな)と無言の圧をかけてくる左馬刻に、どちらともなく苦笑した。

2022/04/17 11:28
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