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#18 - 両片想い左銃



「なあ、銃兎。俺様がお前に惚れたら面倒だって思うんだろ」
 セックスしたあとに聞いたら「左馬刻が……? ふっ、ははは、私に惚れるなんて有り得ないでしょう? 金権力女に酒のサマトキサマだもんな」って何の疑いなくあっけらかんと言ってきたから緊張で知らずに張り詰めていた力が抜けた。有り得ねぇって言いきりやがって。
「……まあでも、その逆なら心配してる」
「あァ? 逆……?」
「俺が、左馬刻に惚れたら面倒ってことだよ。お前は俺を好きになんかならねぇのに、俺がサマトキサマに惚れてどうすんだ」
──でも、もしそうなっても言わないで秘密にしておくから安心しろよ。
 今度は静かに笑う。
 ……なんだよそれ。なんでそうなるんだよ。言えよ。言え。俺様に惚れたんなら惚れたって言え。
もし銃兎に『好きだ』って言われたら、そんな日が来たら、俺様は笑い飛ばしたりなんかしねぇから。惚れられて面倒だとも思わねぇ。むしろ銃兎が俺に惚れてるなんて想像しだだけでグっとくる。最高だろ。
 想像したら余計に欲しくなった。逆が起こる可能性ってどんくらいあるのか聞きたくなる。
「銃兎、」
「左馬刻、俺はもう寝るんだよ。そんな例え話すんな……お前に惚れさせないでくれ」
 予定変更だ。寝かせてやるつもりは毛程もねぇ。背を向けてベッドルームに逃げこもうとしたウサギを後ろから捕まえると、やめろだ離せだとうるさくなる。
「今から銃兎の言うところの"有り得ねぇ"話をしてやるからウサちゃんの優秀なお耳でよく聞いとけよ」
 その後だったら言わないで秘密にしてたことも教えてくれるよな。お得意の取引ってやつだ。


欲しい言葉をくれてやる


2021/06/23 22:34
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